護 (エンジン)

護（まもり）について

護（まもり）は、第二次世界大戦の期間において、中島飛行機が設計・製造した航空機向けの空冷星型エンジンです。このエンジンは1930年代後半に開発が始まり、航空機に搭載するための高出力を目指して設計されましたが、最終的にはその性能と信頼性において多くの問題を抱えることとなりました。

開発の経緯

護は中島飛行機の強い要望によって、その開発が急ピッチで進められました。実際、開発段階にもかかわらず、護は天山や深山といった航空機に搭載されましたが、当初の想定していた出力を発揮することができませんでした。特に、振動が大きく、エンジンの故障が頻発するという技術的な課題が顕在化しました。これらの問題により、わずか200基の生産でその生産が中止される結果となりました。

護の仕様

護は、以下のような主要諸元を持っています。

• - タイプ: 空冷二重星型14気筒
• - ボア（内径）×ストローク（行程）: 155 mm × 170 mm
• - 排気量: 44.9 L
• - 全長: 1,816 mm
• - 全幅: 1,390 mm
• - 乾燥重量: 905 kg
• - 燃料供給方式: キャブレター式
• - 圧縮比: 6.5
• - 過給機: 遠心式スーパーチャージャー1段2速

また、離昇馬力や公称馬力については次のようになります。

• - 離昇馬力: 1,870 HP（2,600 rpm）
• - 公称馬力: 一速全開で1,750 HP（2,500 rpm、高度1,400 m）、二速全開で1,600 HP（2,500 rpm、高度4,900 m）

発展型の計画

護にはさらなる発展型も計画されました。それが「護改」または「ハ46」と呼ばれる18気筒型のエンジンです。しかし、こちらの計画も実際には6基のみ生産され、こちらも同様に中止となりました。これは、護が抱えた技術的な問題が解決されたわけではなく、要求される性能を達成できなかったためです。

主な搭載機

護は特に以下の航空機に搭載されました。

• - 天山
• - 深山

これらの機体は日本の航空機技術の一環として重要な存在ですが、護に起因する問題が両機の運用にも影響を与えました。

結論

護は、中島飛行機によって開発されたエンジンの中でも特に試行錯誤の多かったものです。その開発の背景や仕様、さらには試作機が抱えた課題などを考慮すると、護は日本の航空エンジン開発史の中で特異な位置を占めています。このため、護の技術的な背景や生産中止などは、航空史や技術史の観点からも興味深いテーマとして位置付けられています。

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