谷口三郎

谷口三郎は、1885年（明治18年）に広島県で生まれ、1957年（昭和32年）に生涯を終えた土木工学者です。東京帝国大学工科大学土木工学科を卒業後、北海道庁に入庁し、小樽や留萌での築港工事に携わりました。その後、内務省に移り、大阪土木出張所勤務時代には、10年以上にわたり淀川改修工事に尽力しました。

1934年（昭和9年）には土木局第一技術課長に、1936年（昭和11年）には東京土木出張所長に就任。1939年（昭和14年）には内務技監という要職に就き、日本の土木行政を牽引しました。1941年（昭和16年）には土木学会第29代会長に就任し、1年間その職を務めました。また、海外にも活動の場を広げ、ブラジルやエジプトで土木工学を指導しました。

退官後は、日中親善に力を注ぎ、1948年（昭和23年）まで中国に渡り、鴨緑江や黄河などの治水事業を指導しました。帰国後は、建設工事の機械化を強く主張し、1950年（昭和25年）には日本建設機械化協会の初代会長に就任。日本の建設技術の近代化に貢献しました。さらに、内務省の技術者の地位向上にも尽力するなど、多岐にわたる分野でその手腕を発揮しました。

谷口三郎の功績は、単に土木技術の発展に留まらず、国際的な交流や、戦後の日本の復興にも大きく貢献した点にあります。その生涯は、日本の土木史において重要な位置を占めています。

栄典としては、1940年（昭和15年）8月15日に紀元二千六百年祝典記念章を受章しています。

参考文献

* 高橋裕、藤井肇男 共著『近代日本土木人物事典: 国土を築いた人々』鹿島出版会、2013年。ISBN 4306094294。

もう一度検索