谷口寛

谷口寛：激動の時代を駆け抜けた内務官僚の生涯

谷口寛（たにぐち ゆたか）は、1907年（明治40年）7月9日に生まれ、1994年（平成6年）10月3日に没した日本の官僚です。内務省に入省後、警察官僚、内閣官房副長官、奈良県知事などを歴任し、戦前、戦中、戦後にかけて激動の時代を駆け抜けました。

生い立ちと学歴

谷口寛は、三重県津市で谷口周三郎の長男として誕生しました。旧制第八高等学校を卒業後、1929年10月には高等試験行政科試験に合格。1930年には東京帝国大学法学部英法科を卒業し、内務省に入省しました。

内務官僚としてのキャリア

内務省入省後、谷口は京都府属を皮切りに、富山県の課長、静岡県警察部警務課長、神奈川県商工課長、内務事務官、警保局勤務、岐阜県経済部長、厚生省軍事保護院職業課長、内閣参事官など、様々な要職を歴任しました。これらの経験を通じて、地方行政から中央官庁まで幅広い分野における行政手腕を磨きました。

奈良県知事

1947年3月、谷口は奈良県知事に任命されました。これは、前任の野村万作が知事選に出馬するために辞任したことに伴うものでした。谷口は知事選挙を執行し、同年4月に退任しました。短期間ではありましたが、激動期の地方行政を担いました。

国家地方警察での活躍

1948年3月、谷口は国家地方警察大阪管区本部長に就任しました。その後、国家地方警察本部次長、警察庁次長と、警察官僚としてのキャリアを積み重ねました。この時期、戦後の警察制度の改革と再編に尽力しました。

内閣官房副長官

1954年8月には、第5次吉田内閣の内閣官房副長官（事務担当）に就任しました。内閣官房副長官として、内閣の方針決定や政策実行を補佐し、同年12月までその任を務めました。

その後の活動

内閣官房副長官退任後、谷口は理化学研究所監事、土地調整委員会委員長、日本自動車ターミナル常任監査役など、様々な団体の役員や委員を務めました。これらの活動を通じて、行政の経験を活かし、社会の発展に貢献しました。

谷口寛の人物像

谷口寛は、そのキャリアを通じて、卓越した行政手腕と高い責任感を示しました。激動の時代において、地方行政から中央官庁まで、幅広い分野で活躍し、日本の行政機構を支えました。その生涯は、日本の近現代史を語る上で欠かせない重要な要素です。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 『現代物故者事典 1994～1996』日外アソシエーツ株式会社、1997年。

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