第5次吉田内閣

第5次吉田内閣の概要

第5次吉田内閣は、吉田茂が第51代内閣総理大臣に任命され、1953年5月21日から1954年12月10日まで存在した政権です。この内閣は、吉田茂が日本の政治において重要な役割を果たす中で組織されたものであり、現在でも日本で唯一の「第5次内閣」として特異な位置を占めています。

内閣のメンバーと人事

内閣の構成メンバーは多様でした。国務大臣は1953年5月21日に任命され、彼らの在職日数は合計569日でした。特に法制局長官には佐藤達夫が就任し、内閣官房副長官には江口見登留、谷口寛、田中不破三が名を連ねました。また、各省庁においてもそれぞれ政務次官が任命され、内閣の機能が賄われました。

組閣の背景

第5次吉田内閣の形成は、1953年2月28日に発生した吉田首相の「バカヤロー発言」が引き金となりました。この失言を受けて衆議院に内閣不信任案が提出され、吉田は即座に衆議院を解散しました。この解散は「バカヤロー解散」とも呼ばれています。直後に行われた第26回衆議院総選挙では自由党が第一党の地位を保ったものの、過半数には34議席足りない199議席にとどまりました。

しかし、吉田は他の野党の分裂を利用し、改進党の保守派を取り込み、内閣総理大臣の指名選挙では決選投票に持ち込みました。結果的に、吉田は指名され、1953年5月20日に内閣を組織、翌日には認証式を経て正式に成立しました。

政治的な業績と問題

第5次内閣は少数与党政権でありましたが、改進党や鳩山自由党の協力を得て、スト規制法案や恩給法案、また昭和28年度予算の成立を実現しました。しかし、1954年には保全経済会事件を契機に造船疑獄が浮上し、吉田首相は法務大臣犬養健に対し検察庁法の14条に基づく指揮権の発動を指示しました。この出来事は戦後初めて、政治的影響が刑事事件の捜査に介入した例となり、激しい世論の反発を招きました。これにより、犬養法相は辞任を余儀なくされ、以降このような指揮権の行使は行われなくなりました。

内閣の終焉

その後、1954年9月26日、怒涛の中で吉田首相はカナダ、フランス、西ドイツ、イタリア、バチカン、イギリス、アメリカの7カ国を訪問します。この間に反吉田派が結集し、日本民主党が結成されるなど、政局は不安定な状況に陥りました。吉田首相は強気の姿勢を貫いていましたが、最終的に内部の調整を経て、内閣を総辞職する決断へと至りました。

参考文献

• - 秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。

関連項目

• - 第1次吉田内閣
• - 第2次吉田内閣
• - 第3次吉田内閣
• - 第4次吉田内閣

このように、第5次吉田内閣は、戦後の日本の政治史において特異な位置を占めており、その組閣や活動は今なお歴史的な意義を持ち続けています。

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