谷口興一

谷口興一の生涯と功績

谷口興一（たにぐちこういち）は、熊本県の出身で医師でもある躰道の指導者です。彼は、空手道の流派である玄制流空手道の創始者、祝嶺正献の一番弟子として、東京医科歯科大学の空手道部を設立し、躰道の普及に多大な影響を与えました。彼の人生は、武道の文化を広める努力と医療界での貢献に満ちたものでした。

学生時代と空手道との出会い

熊本県立玉名高等学校を卒業後、谷口は1956年に東京医科歯科大学に入学します。この大学では、当時の医学部進学課程と歯学部進学課程は千葉大学に委託されており、谷口は仲間とともに空手同好会を立ち上げました。彼らは千葉大学文理学部内の旧陸軍兵舎を道場として借り受け、練習を開始しました。

その後、谷口は埼玉大学での空手道演武会に参加し、祝嶺正献の型を目の当たりにします。この体験は、彼の心に強く印象を残し、祝嶺に紹介されたことで彼は玄制流空手道に入門することとなりました。この出会いは彼の人生を決定的に変えるものであり、以降の彼の道を築くきっかけとなります。

空手道部の創設

1958年、谷口は専門課程に進学し、大学の学友会に空手道部の設立を申請しました。初めは同好会としてのスタートでしたが、熱心な練習と合宿を繰り返すことで9月には正式に空手道部として認められ、彼はその初代主将に就任します。谷口の在学中、空手道部は特に活発に活動し、彼の指導のもと伝統を築いていきました。

1965年には、師である祝嶺が躰道を創始したことに伴い、空手道部は躰道部に名称を変更しました。この部活は以来、躰道界において最も歴史ある団体として発展し続けています。

医師としてのキャリア

東京医科歯科大学を卒業した後、谷口は同大学で助教授として教鞭を執り、また群馬県立心臓血管医療センターの総長という重要な役職を歴任しました。彼は医師としても高い評価を受け、医療界における貢献も大きいものでした。

躰道本院最高会議議長としての活動

谷口は現役を退いた後も躰道の指導や普及に熱心に取り組み、躰道本院最高会議の議長として重要な役割を果たしました。彼の取り組みは多くの後進に影響を与え、躰道の発展に寄与しました。

自著と回顧

2005年には、祝嶺との出会いを基にした自伝的書籍「玄制流空手道と躰道の創作を顧みる　天才武道家とその弟子の歩み」を発表しました。この本は、彼自身の武道家としての成長や経験を詳述しており、武道を学ぶ者への貴重な指針となっています。

結び

谷口興一の功績は、躰道の普及にとどまらず、彼の医療における貢献もまた大きいものでした。彼の人生は、武道を通じて人々に影響を与え、教育と医療という二つの場面でその存在感を示したものとなりました。2012年に惜しくも他界しましたが、彼の遺した業績と教えは、今も多くの人々の心に生き続けています。

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