谷地久保古墳

谷地久保古墳について

谷地久保古墳は、福島県白河市本沼に所在する史跡である。古墳の形状は円形で、国の史跡に指定されている「白河舟田・本沼遺跡群」の一部として重要視されている。この古墳は、阿武隈川の南側に位置し、三方向を丘陵に囲まれた場所に築かれている。一般的にこの古墳は、7世紀後半から8世紀初頭に築かれたと考えられている。

古墳の特徴と構造

谷地久保古墳は、墳丘が2段に築成されており、1段目の直径は約17メートル、2段目は約10メートル、最高地点の高さは3.7メートルである。埋葬施設は横口式石槨で、南の方に入口が開かれている。この石槨は、白河石と呼ばれる安山岩質の溶結凝灰岩を用いて構築されており、形状や材質感から近畿地方の古墳と共通点が見られる。

埋葬施設の詳細については、石槨の規模は次の通りだ：玄室の長さは1.44メートル、幅は1.38メートル、高さは1.19メートルである。玄門は幅0.71メートル、高さ0.84メートル、羨道は長さ0.815メートル、幅0.97メートル、高さは1.17メートルとなっている。

歴史的な意義

谷地久保古墳は、古代白河郡の盟主とされる人物が埋葬されているとされ、その背景には地域の政治的な重要性がある。この古墳は、南東には野地久保古墳が存在し、共通する横口式石槨の特徴が見られるなど、地域の古墳における意義も大きい。

また、下総塚古墳や舟田中道遺跡とともに、この地域の古墳時代の遺跡群として認知されている。周辺には、古代の官衙遺跡や寺院跡も展開しており、これらすべてが古代白河郡の中心地であったことを示す貴重な遺跡群となっている。

発掘調査と今後の展望

谷地久保古墳に関しては、1926年と1983年に測量調査が行われたほか、2001年と2003年に発掘調査が実施された。これにより、古墳の構造や埋葬施設の詳細が明らかになり、重要な文化財としての位置づけが強化されている。2015年には国の史跡に指定され、観光資源としての価値も認識されている。

盗掘が行われているため、副葬品に関する情報は限られているが、古墳から得られた資料は地域の歴史を理解する上で重要な手掛かりとなっている。今後の研究を通じて、より多くの情報が明らかになることが期待されている。

まとめ

谷地久保古墳は、古墳時代の歴史や文化を知るための貴重な遺跡であり、地域の中心的な存在が埋葬されている可能性が高いとされる。研究や保護活動が進められ、より深い理解が進むことを願うばかりである。

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