下総塚古墳

下総塚古墳について

下総塚古墳は、福島県白河市舟田に位置する前方後円墳で、古代の貴重な文化遺産として知られています。この古墳は、国の史跡に指定されており、歴史的な意味合いを持つ遺跡の一つです。

古墳の概略

この古墳は、阿武隈川の右岸に築かれたもので、古くは江戸時代の『白河風土記』にも記載されています。形状は前方後円形で、前方部が西を向いています。古墳の周りには幅9から15メートル、深さ約1.2メートルの周濠が設けられています。この周濠内からは、多数の円筒埴輪と形象埴輪（人物や動物の形をした埴輪）が見つかっています。

古墳の埋葬施設は横穴式石室で、南南西に開口していますが、石室内は盗掘の影響を受けており、副葬品の大半は失われてしまいました。それでも、発掘調査によって切子玉やガラス玉が見つかるなど、重要な発見がありました。

建設時期とその背景

下総塚古墳は、古墳時代の後期、つまり6世紀の後半頃に築かれたと考えられています。また、近くに位置する舟田中道遺跡からは豪族の居館が見つかり、古代白河郡の成立直前の歴史的背景を示唆しています。さらに、『先代旧事本紀』には白河国造に関連する記述があり、この古墳と古代の勢力の繋がりが推測されています。

古墳の規模とこれまでの調査

下総塚古墳の学術的な調査は、1932年から開始され、いくつかの発掘調査が行われています。944年から1997年には県営圃場整備の際に範囲確認調査が実施され、2000年から2002年にかけて発掘調査が続けられました。その結果、墳丘の長さは71.8メートルと確認され、特にその基壇部分は幅広い特徴を持っています。

埋葬施設の詳細

この古墳に設けられた横穴式石室は、全長が7.1メートル、奥壁部の幅が1.94メートル、入り口部の幅が1.14メートルで、高さも2.1メートルに及びます。狭い羽子板状の形をしており、考古学的にも貴重な情報を提供しています。

文化財としての重要性

2015年に国の史跡に指定された下総塚古墳は、白河舟田・本沼遺跡群の一部として、周辺地域の歴史を語る重要な存在です。この古墳は、地域の中心地を示す遺跡群の一端を担い、古代の生活様式や文化を知る手がかりとして重要視されています。

参考資料

古墳の保管と展示は白河市歴史民俗資料館にて提供されており、下総塚古墳に関連した出土品が多数展示されています。さらに、さまざまな関連文献や資料が存在し、興味を持つ人々にとって学びの場となっています。古墳の歴史とその詳細を知ることは、今後の研究にも寄与するものと期待されています。

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