谷岡登

谷岡登：大阪商業大学の礎を築いた教育者

谷岡登（1894年-1974年）は、日本の学校経営者として知られています。現在の大阪商業大学の礎を築いた人物であり、その生涯は教育への強い情熱と、実業界での成功体験によって彩られています。

裕福な農家から教育者へ

奈良県桜井市で裕福な農家の長男として生まれた谷岡は、幼少期から並外れた学習意欲を示しました。小学校では首席の成績を収め、地元の寺で論語や四書を学ぶなど、勉学に励みました。生家は三町歩の田畑と山林を所有し、父は村の総代を務める地域の名士であり、製粉所を経営する実業家でした。こうした恵まれた環境と、生来の負けず嫌いが、彼の将来の成功を支える土台となったと言えるでしょう。

関西大学での学びと郵便局長

1920年、谷岡は常岡米蔵の長女・花枝と結婚。兵庫県神戸市に移り住み、大阪府西成郡役所勤務の傍ら、1921年には関西大学専門部法律学科に入学しました。当時、居住地の呉田には郵便局がなく、その不便さを解消するため、自ら郵便局設置の許可を取り、1922年には郵便局長に就任。郵便局の業務は主に妻が担い、谷岡自身は勉学と関西大学の教務課職員としての勤務を両立させました。1924年に関西大学専門部を卒業後、1927年には計理士資格を取得し、大阪市中之島に会計事務所を開設しました。

関東大震災と学校経営への転身

関東大震災の混乱を目の当たりにした谷岡は、社会の安定と発展には質の高い教育が不可欠であると痛感します。この経験が、彼を学校経営の道へと導く転機となりました。1928年、谷岡は大阪城東商業学校（現在の大阪商業大学）を創立し、初代校長に就任。以後、教育者としての道を歩み始めます。

学校経営と地域社会への貢献

大阪城東商業学校校長として、谷岡は学校経営に尽力しました。教育制度の改革や学校施設の整備を進め、学校の発展に大きく貢献しました。同時に、大阪府私学総連合理事や布施市会議員などを歴任し、私学振興や地域社会の発展にも尽力しました。これらの活動は、彼の教育者としての理念と、地域社会への貢献を強く意識した姿勢を表しています。

家族と遺産

谷岡の家族もまた、教育や社会貢献に携わる人物を輩出しました。息子の太郎氏は谷岡学園の総長、孫の郁子氏は至学館大学学長を務め、元参議院議員でもあります。もう一人の孫である一郎氏は谷岡学園の理事長を務めています。谷岡登の生涯は、教育への揺るぎない信念と、実践を通して培われた経験が織りなす、実り多いものだったと言えるでしょう。彼の功績は、大阪商業大学をはじめとする多くの教育機関や、地域社会に今も受け継がれています。 彼の没後も、谷岡学園は発展を続け、彼の教育理念は未来へと受け継がれているのです。

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