谷本道哉

谷本 道哉（たにもと みちや）氏は、1972年11月21日生まれの日本の運動生理学者です。現在は順天堂大学スポーツ健康科学部の教授を務めており、その専門知識を研究教育だけでなく、メディアを通じて広く社会に発信しています。

学問への道のり

静岡県静岡市出身。静岡県立静岡高等学校を卒業後、大阪大学工学部船舶海洋工学科に進学しました。大学卒業後は大手建設会社に就職しましたが、キャリアの途中で転機が訪れます。ボディビルディング専門誌で、後に東京大学大学院での恩師となる石井直方氏の記事を目にしたことから、運動生理学の研究を志すようになります。働きながら約1年半にわたり大学院入学のための学習に励み、受験の直前に会社を退職して上京しました。フィットネスクラブでの勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科に入学し、石井直方研究室で運動生理学を深く学びました。修士課程を経て博士課程を修了し、「筋発揮張力維持法を取り入れたトレーニングに関する研究」で2006年3月に博士（学術）の学位を取得しています。

職歴

東京大学大学院での学びを終えた後、国立健康・栄養研究所の研究員、近畿大学生物理工学部人間工学科の講師を経て、同准教授として研究・教育活動に従事しました。2022年4月からは順天堂大学スポーツ健康科学部で先任准教授を務め、2024年に教授に昇進しました。現在に至るまで、運動生理学の専門家として多岐にわたる研究活動や後進の指導にあたっています。

人物・エピソード

谷本氏の運動やトレーニングへの関心は非常に古くから芽生えていました。幼少期には筋力トレーニングに親しみ、小学生の頃にはクリスマスプレゼントとして鉄アレイをリクエストするほどでした。これは、筋トレを愛好する兄の影響が大きかったといいます。本格的なバーベルを使ったトレーニングは高校時代から始めました。小・中学校で水泳やバレーボール、高校でラグビーといった様々なスポーツを経験しており、当時の筋力トレーニングは、あくまで競技力向上のための手段として位置づけられていました。大学1年時にラグビーで怪我をした後、フルコンタクト空手を始めています。また、高校時代にはコピーライターに憧れていた時期もあったという意外な一面も持っています。

家族

家族構成について、父は英米児童文学研究者である谷本誠剛氏、兄は弁護士です。妻は映像作品の英語字幕制作に携わっており、谷本氏は1男2女の父親でもあります。

著作活動

研究成果や専門知識を一般向けに分かりやすく解説した著書も多数あります。特に石井直方氏との共著が多く、スロートレーニングなど特定のトレーニングメソッドに関する書籍も手掛けています。

主な著書（一部）：
『1日10分〈クイック→スロー〉で自在に肉体改造 体脂肪が落ちるトレーニング』
『筋肉をつける、使う、ケアする』
『筋トレまるわかり大事典』
（石井直方共著）『スロトレ』
* （石井直方監修）『使える筋肉・使えない筋肉』シリーズ

メディアでの活躍

谷本氏の知名度を広く高めたのは、NHKの番組『みんなで筋肉体操』への出演です。この番組では「筋肉指導」として、視聴者に正しいトレーニング方法やその効果を熱心に解説し、多くの人々に筋トレの魅力を伝えました。また、フジテレビの『ホンマでっか!?TV』にも運動生理学評論家として出演しており、科学的な知見をユーモラスに解説することで、テレビを通じた啓発活動にも積極的に取り組んでいます。

専門的な研究教育活動に加え、メディア出演や多数の著作を通じて、科学的根拠に基づいた運動やトレーニングの重要性を社会に普及させる活動は、人々の健康増進に大きく貢献しています。

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