谷津山古墳

谷津山古墳について

谷津山古墳（やつやまこふん）、または柚木山神古墳（ゆのきやまのかみこふん）は、静岡県静岡市葵区に位置しました。この古墳は、静岡市の中心部にある谷津山の山頂に築かれた大型の前方後円墳であり、静岡平野を一望できる恵まれた立地にあります。

この古墳は、前方後円墳としての形を持ち、全長は約110メートルに達し、静岡県内では最大規模を誇ります。後円部の直径は約70メートル、前方部の幅は約45メートルです。墳丘は3段に築成され、外部には葺石が施されていますが、埴輪は発見されていません。

谷津山古墳は4世紀代、すなわち古墳時代前期に築造されたと考えられています。1881年には、地元住民による祠の改築の際に埋葬施設が発掘され、多くの副葬品が出土しました。その中には、鏡が6面含まれていたと言われていますが、現在は大半が散逸してしまい、東京国立博物館に一部が保管されています。

この古墳の埋葬施設は竪穴式石室であったと推測され、多くの遺物が見つかっています。特に、鏡などの副葬品が重要視されていますが、ほとんどの遺物が所在不明になってしまっていることは残念な事実です。また、1988年には静岡市教育委員会による測量調査が行われ、古墳の構造についてのさらなる研究が進められました。

谷津山古墳は、その規模や埋葬施設から、古代の社会や文化を知る重要な手がかりとなる遺跡です。研究者たちは、古墳の築造に当たり、特に巴川上流からの眺めが意識されたのではないかと考察しています。また、古墳は『先代旧事本紀』の中で言及される廬原国造の首長墓であるとの説があり、巴川下流域の前期古墳群との関連性が指摘されています。

残念ながら、この古墳は史跡指定にはなっていませんが、それでも多くの人々にとって歴史的意義を持つ場所となっています。静岡の古墳時代の遺産を知るために、谷津山古墳は今もなおその存在感を示し、訪れる人々に息づく歴史を感じさせています。

参考文献

• - 現地説明板
• - 『日本歴史地名大系 22 静岡県の地名』平凡社、2000年。ISBN 4582490220

関連項目

• - 廬原国造
• - 三池平古墳

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