豆汁

豆汁（トウジル）

豆汁（とうじゅう、中国語: 豆汁儿（dòuzhīr）、酸豆汁儿 （suān dòuzhīr））は、緑豆を煮てからすりおろして作った豆乳を乳酸発酵させた、少し酸味のある飲料です。北京の伝統的な栄養食品として親しまれています。春雨の製造過程で出る上澄み液も利用されることがあります。

概要

豆汁は、緑がかった灰色をしており、かすかな酸味と渋みがあります。口当たりは滑らかで、後味が長く残ります。米のとぎ汁に似た独特の臭いがあり、初めて飲む人には腐敗臭にも感じられ、飲み込むのが難しいと感じるかもしれません。

しかし、北京では人気の高い軽食であり、豆汁と焦圈（ジャオジュエン、揚げドーナツ）は日常的に食されています。特に春や冬によく飲まれます。北京には「豆汁・焦圈・鹹菜絲」という言葉があり、これらは欠かせない組み合わせとされています。豆汁を一杯、焦圈を数個、サクサクとした焦圈を豆汁に浸して食べ、塩辛い漬物の千切りを加えることで、酸味、甘味、辛味、塩味の四つの味が楽しめます。

もともとは、緑豆をすりつぶしてでん粉を採取したり、春雨を作った後の残り汁から作られていました。緑豆の搾りかすを濾過した後に残ったものを発酵させて作られた汁が始まりです。

緑豆を水に浸してふやかし、ミキサーや擂り鉢ですりつぶして「生豆汁」を作り、これを元に豆汁を作る方法もあります。「生豆汁」を発酵させないレシピもありますが、この場合は酸味がほとんど出ず、風味が大きく異なります。

歴史

豆汁は宋代には既に存在していたことが知られています。20世紀初頭までは、「売豆汁児的」と呼ばれる行商人が天秤棒で担いで北京の町を売り歩いていました。天秤棒の片側には豆汁を入れた土鍋を木の蓋で覆い、もう片方には薬味として賽の目切りや細切りにした大根の漬物、碗、洗い水、ブラシなどを入れた木の枠を腰掛けとともにぶら下げて担いでいました。焦圏や焼餅も合わせて売ることもあったようです。

清の乾隆18年（1753年）には、豆汁は清皇帝の御膳としても提供されました。

麻豆腐

豆汁を発酵させる過程で、タンパク質が多く沈殿することがあります。この沈殿物を利用して麻豆腐という食品を作ることもあります。

関連項目

ヨーグルト
豆乳
腐乳
春雨 (料理)

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