豊国神社 (京都市)

豊国神社の歴史と概要

豊国神社は、京都市東山区にある神社で、豊臣秀吉公を祀っています。旧社格は別格官幣社であり、現在は神社本庁の別表神社となっています。豊臣秀吉公は、没後に「豊国大明神」の神号を授けられ、神として祀られることになりました。この神社は、秀吉公の没後、一時的に廃絶となりましたが、明治時代に再興されました。

現在の豊国神社の敷地は、かつて大仏を安置していた方広寺の寺領でした。明治新政府がこれを収公し、最終的に豊国神社の境内となりました。参道に敷かれている石材は、方広寺大仏殿の内部や基壇に使われていたものを転用したものです。

豊国神社は、京都市の他に、秀吉公の居城であった大阪城公園、滋賀県長浜市、そして出身地の名古屋市などにも建立されています。

豊国神社の創建と発展

豊臣秀吉公は慶長3年（1598年）に亡くなりました。遺体は火葬されることなく伏見城内に安置されていましたが、翌年の慶長4年（1599年）に、遺命により京都の阿弥陀ヶ峰山頂に埋葬されました。その麓に、高野山の木食応其によって廟所が建立されたのが、豊国神社の始まりです。

当初、廟所は秀吉公の死が伏せられていたため「大仏の鎮守社」とされていました。しかし、秀吉公の死が公になると、廟所は「新八幡社」と呼ばれるようになり、慶長4年4月16日には、朝廷から「豊国乃大明神」の神号が贈られました。

この神号は、日本の古名「豊葦原中津国」に由来するものでしたが、同時に豊臣の姓も意識したものでした。神号を下賜する宣命には、豊国大明神は武の神として異域に兵威を振るうと説明されています。遷宮の儀が行われ、社は豊国神社と命名されました。

豊国社の遷宮は、吉田神道の吉田家が主宰し、社務職には吉田兼見の孫が就任しました。また、神宮寺の社僧には兼見の弟がなりました。慶長6年（1601年）には、1万石が社領として寄進され、慶長9年（1604年）には、徳川家康が社家としての地位を承認しました。毎年4月と8月18日には、秀吉公の年忌に豊国祭という盛大な祭りが行われました。

豊国神社の廃絶と再興

慶長20年（1615年）、豊臣家が滅亡すると、徳川家康の意向により豊国大明神の神号は剥奪され、神社自体も廃絶されました。秀吉公の霊は五輪石塔に移され、遺体は霊屋とともに山頂に残されました。社殿は残されましたが、修理は禁止され、朽ち果てるに任されました。一時は神宮寺も移されましたが、後に妙法院に移されています。

秀吉公の神体は密かに持ち出され、自宅に隠し祀られていました。寛永17年（1640年）には、旧参道内に新日吉神社が再興されました。これは、豊国神社への参拝路を塞ぐためという見方と、秀吉廟所拝所建設とする見方があります。江戸時代を通して、豊国神社が再興されることはありませんでした。

しかし、慶応4年（1868年）に明治天皇が秀吉公を賞賛し、豊国神社の再興が布告されました。明治6年（1873年）には別格官幣社に列格し、明治13年（1880年）には現在地に社殿が完成しました。

豊国神社の境内と文化財

豊国神社には、本殿、幣殿、拝殿などの社殿の他に、多くの文化財があります。

唐門（国宝）：元は南禅寺塔頭の金地院にあったもので、二条城から移築されたと伝えられています。
貞照神社：北政所（豊臣吉子）を祀っています。
豊臣秀吉像：太平洋戦争中に作られた陶製の像です。
宝物館：秀吉公の歯や「豊国祭礼図屏風」などが収蔵されています。
* 馬塚：秀吉公の供養塔です。

また、境外には秀吉公の墓所、豊臣国松と松の丸殿の供養塔があります。

豊国神社は、豊臣秀吉公の偉業を偲び、その御霊を祀る重要な神社であり、多くの人々から信仰を集めています。

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