豊川稲荷東京別院
豊川稲荷東京別院
豊川稲荷東京別院は、東京都港区元赤坂にある曹洞宗の寺院であり、愛知県豊川市に存在する豊川稲荷妙厳寺の直轄の別院です。ここは、東京においても独特の信仰の場として、地域の人々や参拝者に親しまれています。
沿革
豊川稲荷東京別院の歴史は、大岡越前守忠相による吒枳尼天の勧請に由来しています。彼は自らの屋敷でこの神を祀り、豊川稲荷を信仰していた大岡家の伝統を受け継いでいました。江戸時代、邸宅に設けられた吒枳尼天は、大岡家が下屋敷を赤坂一ツ木に移転した際も、一緒に移されて信仰が続けられました。
その後、1828年には大岡邸の敷地内に江戸参詣所が設立され、このことが東京別院の創建につながりました。さらに明治9年の規制により、一般の参拝が一時的に禁止されることもありましたが、2年後には再び許可され、参拝者が増加しました。1887年、手狭となった為、現在の場所に移転してきました。
信仰の広がり
大岡越前守は、江戸南町奉行や旗本から大名に昇進した経験もあって、江戸の豊川稲荷は成功や商売繁盛、厄除けの神として知られるようになりました。この影響が川柳にも詠まれ、「石川は 盗み 豊川 盗ませず」といった形で言い伝えられています。また、明治以降は赤坂支配や芸道に関わる人々からも信仰が寄せられ、今でも多くの著名人やスポーツ選手に神社の信仰を集めています。特に、節分会の際には、各界の有名人が多数参加します。
境内の紹介
東京別院の境内に足を踏み入れると、都会の喧騒を離れた静謐な空間が広がります。
- - 本殿：東京別院の本尊である吒枳尼天が祀られており、毎年11月22日の秋季大祭には「おこもり会」が催されます。この行事は、往古に豊川への交通が不便だった頃、信徒が集うために始まったとされています。
- - 境内社：いくつかの境内社もあり、特に「叶稲荷」は縁切りの神として知られています。また「融通稲荷」では、融通金を借りることができ、願いが叶った際には利子をつけて返納する風習があります。さらには、小さいながら「銭洗い弁財天」も祀られ、こちらで水に浸したお金が倍になるとの言い伝えがあります。
- - 大黒堂：幕末から存在していた大黒堂は、最近再建され、今も多くの参拝者に親しまれています。
その他の豊川稲荷
豊川稲荷には他にもいくつかの関連する神社が存在します。一つは愛知県岡崎市にある大岡稲荷社で、これは大岡越前守が藩主であった際に祀られたものです。また、東京都文京区の豊川稲荷神社は、大岡越前守の下屋敷があった伝説の地とされています。
アクセス
豊川稲荷東京別院へのアクセスは、東京メトロ銀座線および丸ノ内線の赤坂見附駅から徒歩約5分と便利です。都市の中にあって、独自の信仰文化が息づくこの場所は、多くの人々に愛されています。
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