豊橋鉄道モ3600形電車

豊橋鉄道モ3600形電車

豊橋鉄道で活躍していたモ3600形電車は、かつて三重交通が所有していた541形を起源とする路面電車です。この車両の歴史は1937年にまで遡ります。当時、神都線を運営していた東邦電力が、今の当社が製造した大阪鉄工所（現：日立造船）製の四軸ボギー車を導入しました。東邦電力が神都線を運営していたこの時代、モ3600形は将来的に重要な役割を果たす運命にありました。

1944年には三重交通の541形に改称され、神都線での運行が始まりました。しかし1961年に神都線が廃止され、541形は豊橋鉄道に譲渡されることになります。この譲渡に伴い、541形の3両（541-543）はモハ600形（601-603）に改称され、東田本線での運用がスタートしました。

モハ600形は東田本線にとって初のボギー車であり、空気ブレーキが装備された先進的な車両でした。元々はビューゲルという集電装置が付いていましたが、豊橋鉄道に移ってからはZパンタグラフに変更され、またその後再びビューゲルに戻されるという経緯がありました。また、神都線時代には取り外し可能だった前灯は、豊橋鉄道移動後に固定式となり、運行の安定性が向上したとされています。

1964年に「モ600形」と呼ばれるようになり、さらに1968年には「モ3600形」に改称されます。この時期、モ3600形は東田本線の主力車両として活躍していました。しかし、2扉車であったため、扉の配置上ワンマン運転への改造ができず、運行上の制約がありました。このため、1971年3月に3603号が、同年6月には3601・3602号が廃車となり、結果として東田本線のワンマン運転化はこの年の8月に開始されることになりました。

それ以降、モ3600形の活躍は終わりを迎えましたが、2014年からは三重交通が運行する神都バスにおいて、543号をイメージしたデザインが施されるなど、かつての輝かしい歴史の一端が今日でも受け継がれています。

主要諸元

• - 定員: 90人（座席定員 40人）
• - 自重: 15.05t
• - 最大寸法:

- 長さ: 12,500mm
- 幅: 2,304mm
- 高さ: 3,656mm

• - 台車: 日本車輌製造製 C-10
• - 出力: 45kw×2

このように、豊橋鉄道モ3600形電車は、多くの変遷を経て運行されながら、地域の公共交通機関として重要な役割を果たしてきました。今もなお、その名残は地域の交通機関に息づいています。

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