豚伝染性胃腸炎

豚伝染性胃腸炎について

豚伝染性胃腸炎（TGE）は、伝染性胃腸炎ウイルスによって引き起こされる豚の感染症です。この病気は、家畜伝染病予防法において届出が必要な伝染病に指定されており、感染の対象は豚とイノシシです。

原因

この病気の原因となる伝染性胃腸炎ウイルスは、コロナウイルス科に属するウイルスであり、犬コロナウイルスや猫伝染性腹膜炎ウイルスと同じ抗原を持っています。感染は特に冬季に発生する傾向があり、主な感染経路は糞口経路です。また、飛沫感染の可能性も否定できません。いくつかの野生動物、例えばイヌやネコ、野鳥などがウイルスの媒介者になることもあります。

症状

感染した哺乳豚は、急激な発熱、嘔吐を示し、続いて下痢に陥ることが多いです。この症状が現れてから一週間以内に死亡するケースが多く、特に4週齢以下の豚が多く影響を受けます。一方で、4週齢以上の豚は通常、死亡することはありませんが、発育不良に陥る可能性があります。感染した豚の肉眼的変化は主に胃と小腸に見られ、胃が膨満し、未消化の凝乳が内容物として認められます。症状が豚流行性下痢と類似しているため、診断の際には注意が必要です。

診断

診断には、発症期と回復期のペア血清を用いることが最も確実で、中和抗体価の上昇を確認することで診断が行われます。しかし、これが実際の診断のためには事後的な価値しか持ちません。迅速な診断としては、蛍光抗体法を用いて抗原の検出を行います。

治療

現在のところ、TGEに対する治療法は確立されていませんが、しばしば大腸菌症が併発するため、対症療法として抗生物質が投与されることがあります。感染が広がっている環境では、慎重な管理が求められます。

予防

豚伝染性胃腸炎の予防策としては、妊娠中の母豚にワクチン接種を行う方法があります。これにより母乳を通じて子豚に免疫を付与することができます。また、子豚には生ワクチンを経口で与える方法も効果的です。これらの予防策は、感染の蔓延を防ぐうえで重要な手段となります。

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脚注

• - 関連項目: 家畜伝染病予防法, コロナウイルス科
• - 参考文献:

- 清水悠紀臣ほか『動物の感染症』近代出版, 2002年, ISBN 4874020747
- 獣医学大辞典編集委員会編『明解獣医学辞典』チクサン出版, 1991年, ISBN 4885006104

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