貝殻テラス

荻野目洋子 3rdアルバム『貝殻テラス』：夏の香り漂う、青春のポップ・サウンド

1985年9月5日、荻野目洋子の3枚目のアルバム『貝殻テラス』がビクター音楽産業よりリリースされました。このアルバムは、彼女自身の代表曲を含む、充実した楽曲群で構成され、多くのファンを魅了しました。

特に注目すべきは、アルバムに収録された2つのシングル曲です。1つは、花王「ビオレU」のCMソングとして起用され、彼女自身のキュートな魅力と夏の爽快感を融合させたヒット曲「恋してカリビアン」。そしてもう1曲は、TBS系愛の劇場「わが子よV」の主題歌として書き下ろされた、情感豊かなバラード「心のままに〜I'm just a lady〜」です。これらの曲は、アルバム全体の雰囲気を彩る重要な役割を果たしています。

『貝殻テラス』の特徴として、作詞陣の顔ぶれが挙げられます。前作と比較して男性作詞家の比率が高くなっており、秋元康氏が5曲もの作詞を担当しています。秋元康氏による作詞は、同時代のアイドルソングシーンを牽引した彼の才能を反映しており、荻野目洋子の歌声と見事に融合しています。このアルバムでは、松井五郎氏、岡田冨美子氏、松本隆氏など、錚々たる作詞家陣も参加しており、多様な歌詞の世界観が表現されています。

作曲陣もまた、中崎英也氏、船山基紀氏、水谷公生氏、田中弥生氏、見岳章氏など、実力派ミュージシャンが名を連ねています。彼らの卓越した作曲センスは、それぞれの楽曲に個性と深みを与え、アルバム全体のクオリティを高めています。編曲も、萩田光雄氏、大谷和夫氏といったベテランアレンジャーが担当し、洗練されたサウンドプロダクションを聴かせてくれます。

楽曲の多様性もまた、このアルバムの魅力です。アップテンポで夏らしい雰囲気の楽曲から、しっとりと心に響くバラードまで、様々なタイプの曲が収録されており、リスナーの飽きさせません。それぞれの楽曲が、荻野目洋子の魅力を異なる角度から見せてくれる、そんなアルバムとなっています。

2010年3月24日には、デビュー25周年を記念した再発盤『貝殻テラス [+4]』がリリースされました。この再発盤には、オリジナルアルバムに収録されている全10曲に加え、ボーナストラックとして4曲が追加収録されています。「愛のタイムカプセル」「スイート・ヴァケーション」という新曲に加え、「恋してカリビアン」「心のままに〜I'm just a lady〜」のニューバージョンも収録され、より充実した内容となっています。ニューバージョンでは、編曲を米光亮氏が担当し、新鮮なサウンドアレンジが楽しめます。

『貝殻テラス』は、80年代アイドル黄金期を代表するアルバムとして、現在でも多くのファンから愛され続けています。荻野目洋子の歌声、豪華作家陣による楽曲、そして時代を感じさせるサウンド。これらの要素が三位一体となり、このアルバムは完成度の高い作品に仕上がっています。夏の思い出、青春の輝きを閉じ込めた、まさにタイムカプセルのような一枚と言えるでしょう。

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