財政再生団体

財政再生団体とは

財政再生団体とは、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づき、財政再生計画を策定した地方公共団体のことを指します。これは、以前の制度における財政再建団体に相当し、しばしば企業の倒産に例えられます。財政状況が著しく悪化した地方公共団体が、財政を立て直すために国による管理下に入る制度です。

財政再生基準

地方公共団体は、以下の3つの財政指標のうち、いずれか1つ以上が基準に達した場合、自主的な財政健全化が困難と判断され、財政再生計画の策定が義務付けられます。

1. 実質赤字比率
都道府県：5%（東京都については特別区に関する補正あり）
市町村・特別区：20%
2. 連結実質赤字比率：実質赤字比率の基準に10%を加算した値
3. 実質公債費比率：35%

これらの基準は、地方公共団体の財政状況を測る重要な指標であり、いずれかの基準を超過すると、財政再生計画の策定が必要となります。

財政再生計画

前年度の決算内容が上記の財政再生基準に達した場合、地方公共団体の長は、その年度内に財政再生計画を作成し、議会の議決を経て決定しなければなりません。計画の内容は、財政指標が悪化した要因の分析から始まり、以下の要素が含まれます。

事務や組織の合理化による歳出削減
滞納分の徴収成績の向上
使用料や手数料の改定
財産の処分などによる歳入増加

これらの措置を、期間を定めて年度ごとに詳細に計画します。

総務大臣の同意

財政再生計画は、総務大臣の同意を得る制度があります。同意を得ると、赤字地方債（再生振替特例債）を発行できますが、同意が得られない場合、災害対策を除き、全ての地方債の発行が不可能になります。そのため、実質的にはほぼ必ず同意を得る必要があり、国の管理下に置かれる状況となります。これは、地方公共団体の財政を立て直すために、国が関与することを意味します。

事例：夕張市

平成26（2014）年度時点で、財政再生団体に該当する地方公共団体は、北海道夕張市のみです。

夕張市は、以前より財政再建団体でしたが、平成20（2008）年度の決算で3つの財政指標全てが財政再生基準を大幅に超過しました。2010年（平成22年）3月2日に財政再生計画が市議会で議決され、同年3月9日に総務大臣の同意を得て、財政再生団体へと移行しました。再生振替特例債によって実質赤字を解消し、17年間での償還を目指しています。そして、2029（令和11）年度には全ての財政指標が早期健全化基準を下回ることを目標としています。

関連事項

財政健全化団体：財政状況の悪化を早期に食い止め、健全化を図るための団体
財政破綻：財政が完全に機能不全に陥った状態

財政再生団体は、地方公共団体の財政運営において、非常に重要な役割を果たします。財政状況が悪化した際には、国による管理と支援を受けながら、財政の立て直しを図ります。

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