貨幣損傷等取締法

貨幣損傷等取締法について

貨幣損傷等取締法は、日本の貨幣を保護するための法律で、貨幣の損傷や鋳潰しを禁じています。この法律は、1947年（昭和22年）に制定され、当初は「補助貨幣損傷等取締法」という名称でしたが、1988年（昭和63年）に現在の「貨幣損傷等取締法」に改称されました。

制定の背景

この法律の制定以前には、補助貨幣を対象とした同様の規制として、1940年（昭和15年）の大蔵省令「補助貨幣ノ蒐集鑄潰又ハ毀傷ノ取締ニ関スル件」が存在していました。この省令は、補助貨幣を地金として売買したり使用したりする目的で、収集、鋳潰し、損傷することを禁じていました。この省令は、貨幣損傷等取締法の施行に伴い廃止されています。

対象となる貨幣

この法律で保護の対象となる「貨幣」とは、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」で定められた貨幣を指します。具体的には、500円、100円、50円、10円、5円、1円の硬貨と、記念貨幣が含まれます。これらの貨幣を損傷したり、鋳潰したりする行為は法律で禁じられています。

対象外のもの

一方で、日本銀行券（いわゆる紙幣）は、この法律の対象外です。紙幣を損傷すること自体を罰する法律は現在のところ存在しません。ただし、損傷の激しい紙幣や書き込みのある紙幣は、真券かどうかの判断が難しくなり、ATMなどで利用できなくなる可能性があるため、大切に扱うことが推奨されています。

海外との比較

日本では貨幣の加工が厳しく規制されていますが、海外では貨幣の加工を認めている国もあります。例えば、アメリカ合衆国では、記念メダルを作成する機械が観光地に設置されており、硬貨を加工して記念品を作ることが可能です。日本国内にも同様の機械が設置されていることがありますが、多くの場合、専用のコインを使用します。

その他の事例

マジックで使用するギミックコインは、日本の硬貨を加工することが法律で禁じられているため、海外の硬貨が用いられることが一般的です。また、海外で加工された日本の硬貨を日本に持ち込もうとした場合、関税法により輸入が禁止されているため、注意が必要です。

葬儀と貨幣

かつては、三途の川の渡し賃として、故人に硬貨を持たせて火葬することがありましたが、現在では多くの火葬場で金属の副葬が禁止されています。そのため、葬儀社が用意した六文銭を模したものが用いられるのが主流です。

まとめ

貨幣損傷等取締法は、貨幣の価値を維持し、経済活動を円滑に進めるために重要な法律です。貨幣は国の信用を象徴するものであり、その取り扱いには注意が必要です。

関連項目

通貨偽造の罪
ディベースメント（貨幣の品位を下げる行為）

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