貨物利用運送事業法

貨物利用運送事業法

貨物利用運送事業法（かもつりよううんそうじぎょうほう）は、日本の貨物利用運送事業を 규정하는 法律です。1989年（平成元年）に制定され、当初は「貨物運送取扱事業法」という名称でした。

目的

この法律は、貨物利用運送事業の運営を適切かつ合理的にすることで、事業の健全な発展を促すとともに、高度化・多様化する貨物輸送のニーズに対応し、利用者の利益保護と利便性向上に貢献することを目的としています。

定義

貨物利用運送事業とは、実運送事業者を利用して貨物の運送を行う事業を指します。具体的には、船舶、航空、鉄道、自動車などを用いた運送が該当します。

歴史

貨物利用運送事業は、初期には「小運送業」と呼ばれ、鉄道による「大運送」と対比されていました。

官営鉄道の開始と小運送業の発展

日本で初めて鉄道貨物輸送が行われたのは、1873年（明治6年）のことです。当初は三井組が官営鉄道を利用して貨物取扱事業を行っていましたが、後に内国通運会社（1875年設立）に引き継がれました。内国通運会社は、江戸時代の飛脚輸送をルーツとする陸運元会社（1872年設立）を前身としています。

1879年頃には新規参入が相次ぎ、内国通運会社、日本逓業株式会社（後の日本運送株式会社、国際運送株式会社）などが大手として台頭しました。1914年には、全国に8,000以上の小運送業者が乱立する状況となりました。

1926年には、内国通運、国際運送、明治運送の3社が共同出資して合同運送株式会社を設立。1928年には内国通運が国際運送・明治運送・合同運送を吸収合併し、国際通運株式会社となりました。

小運送業法と日本通運の設立

1937年には小運送業法が施行され、鉄道大臣による免許制が導入されました。同時に日本通運株式会社法が制定され、国際通運株式会社などを吸収し、政府が50%出資する形で日本通運が設立されました。当時の制度では、小運送事業者はすべて日本通運の加盟店として事業を行うこととされ、日本通運自身は小運送事業を行いませんでした。

しかし、戦時体制下の1941年になると、日本通運は自ら小運送事業に進出し、同業の大手事業者を吸収合併。他の事業者も傘下に収め、小運送業は日本通運による独占事業となりました。

通運事業法への改正と日本通運の民営化

戦後、日本通運株式会社が過度経済力集中排除法の指定を受けたため、日本通運株式会社法は廃止され、同社は民営化されて株式市場に上場しました。

1950年には小運送業法が通運事業法に改定され、運輸大臣による免許制が維持されました。

貨物運送取扱事業法から貨物利用運送事業法へ

1989年には貨物運送取扱事業法に改定され、鉄道輸送に限らず、陸送、海運、空輸も охватывающий право становится более современным。この改正では、以下の事業区分が設けられました。

利用運送事業: 届出制
第一種利用運送事業: 集配を伴わない単純な利用運送
第二種利用運送事業: 自動車による集配付きの利用運送
運送取次事業: 登録制（コンビニエンスストアの宅配便取次など）

これらの事業は免許制から認可制となり、料金は運輸大臣への届出制となりました。

2003年には貨物利用運送事業法に改正され、利用運送事業における運賃・料金の届出制度が廃止され、自由価格制となりました。また、貨物取次事業は規制が撤廃され、届け出なしで誰でも自由に行えるようになりました。

関連法規

貨物自動車運送事業法

関連項目

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