貴人 (後宮)

貴人（きじん）は、中国の後漢時代以降の後宮における皇帝の側室の称号として用いられました。また、李氏朝鮮においても同様の称号が見られます。

後漢においては、貴人は皇后に次ぐ地位を占めていました。これは後宮において非常に高い地位であり、皇帝の寵愛を受けた女性に与えられたと考えられます。

晋の時代になると、貴人は三夫人（皇后に次ぐ3つの位）のうちの第3位に位置づけられました。この時代の貴人は、爵位としては公に相当する高い地位を有していました。

明の時代には、貴人の地位は大きく変化しました。皇帝と関係を持った女中が「貴人」と呼ばれることがありましたが、その地位は妃嬪よりも下位でした。これは、貴人の地位が固定的なものではなく、皇帝の意向によって左右される側面があったことを示唆しています。

清の時代においては、貴人は妃嬪の第5位となりました。清朝の後宮制度においては、厳格な位階制度が存在し、貴人もその体系の中に組み込まれていました。

李氏朝鮮においては、貴人は従一位の側室として位置づけられました。朝鮮王朝においても、王の側室は重要な役割を担っており、貴人もその一翼を担っていました。

このように、貴人は時代や国によってその地位や役割が大きく異なっています。後漢のように皇后に次ぐ高位であった時代もあれば、明のように妃嬪よりも下位であった時代もありました。これらの変遷は、各王朝の政治状況や後宮制度の変化を反映していると考えられます。

参考文献

『後漢書』本紀10上皇后紀上
『宋書』巻41后妃伝
『明史』楊漣伝
『大清会典』

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