貴族院 (日本)

貴族院について

概要

貴族院とは、明治時代から戦後まで日本で存在した帝国議会の上院で、1890年11月29日から1947年5月3日までの間に設置されていました。この機関は、二院制の一翼を担っており、下院に当たる衆議院と対等の権限を持っていましたが、予算先議権は衆議院に与えられていました。貴族院のメンバーは、皇族議員、華族議員、勅任議員の三種類から構成されており、解散はなく、それぞれ異なる任期や選出方法が存在しました。

1947年に日本国憲法が施行されると、貴族院は廃止され、参議院が新たに設立されました。参議院は公選制で構成され、解散もありませんでした。この変更により、華族が議員として活動することはできなくなり、終身任期制や勅任議員制度も廃止されました。

成立と構成

貴族院の議員には、皇族議員、華族議員、勅任議員の3種類があり、皇族や華族から自動的に議員が選出される仕組みとなっていました。華族議員は、爵位に基づき互選で選ばれました。例えば、公爵・侯爵は満30歳で自動的に議員となり、定員は設けられていませんでした。

華族議員の選任方法は多様であり、伯爵、子爵、男爵はそれぞれの爵位保持者による互選で選ばれ、議員の任期は7年とされていました。また、多額納税者や学識者から選ばれる勅任議員は、内閣の助言に基づき天皇によって任命されました。これらの議員は、選挙によらずに地位が得られるため、政治経験が豊富な人たちが多く、貴族院の運営をリードする役割を担っていました。

議院内政治

貴族院は非政党主義を基本としており、政党政治に対抗する役割を果たしました。特に衆議院の政党政治への批判が強く、大正デモクラシー期にはその影響力を発揮しました。また、戦時中には政府に対しても独自の立場からの発言を行い、内閣の政策に抵抗することも少なくありませんでした。

歴史的背景

貴族院の設立は、天皇を中心とした君主制を維持するため、世襲貴族の存在が不可欠であると考えられたからです。初代の内閣総理大臣である伊藤博文は、貴族院をその象徴とし、民意を反映する衆議院とは対照的な存在と位置づけました。これにより貴族院は、民主主義に対抗し、保守的な立場を取ることになりました。

貴族院廃止までの流れ

1947年、日本国憲法の施行に伴い、貴族院は正式に廃止され、参議院にその機能が引き継がれることとなりました。貴族院議員の多くは憲法施行に際して賛成を表明しましたが、その背景には占領下での政治的状況が影響していました。貴族院の最後の本会議では、多くの議員が歴史的意義を指摘しつつ、その活動を終えることになりました。

結論

貴族院は、明治以降日本の政治構造を形作る重要な機関でした。その存在は、王政と議会制民主主義のバランスを模索する過程での重要な変遷を意味しており、歴史的な視点から見ても非常に興味深い存在でありました。

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