賀陽宮

賀陽宮（かやのみや）

賀陽宮は日本の皇室に属する宮家の一つであり、1900年5月9日に創設されました。初代の邦憲王は久邇宮朝彦親王の次男で、久邇宮の宮号を受け継ぐ予定でしたが、病気のため弟の邦彦王にその権利を譲り、新たに独立した宮家を設立しました。

この賀陽宮の名称は、創設者の父である朝彦親王が以前に名乗っていた宮号に由来しています。朝彦親王は幕末に還俗し、当初は「中川宮」と称しましたが、その後一会桑政権との関係を深める中で「賀陽宮」に改称されました。賀陽の名は、親王邸にあった老木の榧に由来し、それに平安時代後期の賀陽院（高陽院）の字が当てられていると言われています。

1947年、賀陽宮は皇籍を離脱しました。この際、2代目の恒憲王がその権利を放棄しましたが、現在でも旧宮家の祭祀継承者は恒憲王の孫である5代目の正憲王です。賀陽宮のご先祖には香淳皇后の伯父にあたる邦憲王や、貞明皇后の姪の恒憲王妃敏子がおります。こうした血縁関係から、賀陽家は現在の皇室とも親戚関係にあります。賀陽家と皇室との関係は深く、菊栄親睦会や常磐会を通じて絆を育んでいます。正憲王は学習院に通っていた際に、今上天皇との同窓生でもあったことが特筆されます。

賀陽宮の宮邸は京都と東京に存在しました。京都邸は三十三間堂の隣に位置しており、現在はこの地はホテルとなっていますが、その敷地内には宮邸を象徴する塀が現存しています。一方で、東京邸は千鳥が淵の近くにありましたが、戦時中の空襲で焼失し、現在は千鳥ケ淵戦没者墓苑が所在しています。また、賀陽宮には荻窪や須磨にも別邸が存在していました。

京都の本邸は1967年に広島県の神勝禅寺へ移築されましたが、その邸宅は1994年に焼失してしまいました。賀陽宮は、歴史的な背景や皇室との関わりの中で、日本の近代史において重要な役割を果たしてきた宮家です。日本の皇室に関連する貴族の文化や伝統を今に伝える存在として、賀陽宮は豊かな歴史を刻んでいます。

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