賊盗律

賊盗律についての詳細

賊盗律（ぞくとうりつ）とは、古代日本の律令法の一つで、国家秩序に対するさまざまな犯罪を規定した法律です。この律は、賊や盗の概念に基づいて犯罪とその罰則を詳細に定めています。

起源と背景

賊盗律は、中国の戦国時代に李悝が著した法経から発展した「盗法」と「賊法」に由来します。日本においては、養老律の第7篇に配置されたこの律は、全体で53条から成り立っています。この律令は、様々な時代を経て、初めて北斉において「賊盗律」として統合され、その後隋・唐といった王朝に継承されていきました。

大宝律にも同様の規定が存在しましたが、その詳細は残っていません。一方で、養老律においては、賊盗律がほぼ完全に伝わっているのが特徴です。この律では、737年に制定された唐の開元二十五年律の内容に非常によく一致していることが確認されています。

賊盗律の内容

賊盗律は、主に「賊」と「盗」に関する犯罪を定義しています。「賊」とは、謀反、謀叛、大逆、謀殺、厭魅、妖書妖言など、国家や社会の秩序及び安全を脅かす犯罪行為を指します。一方、「盗」は窃盗や強盗、略人、略奴婢など、官民を問わず財物や人身を無断で奪取する行為に該当します。

特に、賊盗律は、賊と盗の犯罪に対して、それぞれの具体的な罰則を明示しているため、法の適用が明确です。また、養老律の中でも特に重要な位置を占めており、その内容は平安時代においても根強く影響を与えました。

現代への影響

明治時代以降、賊盗律の名称は、仮刑律や新律綱領、さらには改定律例においても引き継がれ、再び法律の一篇として設けられました。このことから、賊盗律は日本の法制度における歴史的な基盤であり続けていることが良く分かります。

参考文献

以下に、賊盗律に関するさらなる学びのための参考文献を示します。

• - 小林宏「賊盗律」『国史大辞典 9』（吉川弘文館 1988年）
• - 榎本淳一「賊盗律」『日本史大事典 4』（平凡社 1993年）
• - 高塩博「賊盗律」『平安時代史事典』（角川書店 1994年）
• - 林紀昭「賊盗律」『日本歴史大事典 2』（小学館 2000年）

このように、賊盗律は日本の法制度の発展に寄与してきた重要な法律の一つです。

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