賊軍

賊軍（ぞくぐん）とは

賊軍とは、天皇や政府に反逆し、討伐や圧制の対象となる勢力が持つ軍を指します。この軍は、小規模な反乱勢力の場合は「賊徒」とも呼ばれ、「官軍」という言葉の対義語として使われます。賊軍は、国家転覆を狙って組織された武装勢力であり、単なる一揆とは一線を画しています。

賊軍の定義

賊軍は、朝敵や逆賊、国賊などと同じ意味合いを持つ言葉ですが、より特定の軍勢に焦点を当てています。それに対し、朝敵や国賊は個人レベルでも成立する言葉です。賊軍は、軍勢をひきいて反抗することから、規模の大きさが特長です。例えば、平将門は賊軍の首魁でありながら、神として信仰される一例です。また、南北朝時代には、両帝が互いに相手側を「賊」と呼び合う状況があり、立場によって賊軍の定義が変わることもあります。

歴史的背景

日本の歴史において、賊軍という概念は古くから存在します。例えば、神武天皇即位前の長髄彦の時代、彼の軍勢は日本書紀において賊軍として記されています。長髄彦は饒速日命に敗れ、後に彼の軍は帰順します。この場合、賊軍の指導者が神格化されることもあるのです。

さらに、平安時代には平将門が「新皇」を名乗り、朝廷に対抗しました。また、藤原純友や北条義時なども賊軍として知られています。幕末にかけては、長州藩や徳川慶喜も賊軍の例に挙げられます。特に、戊辰戦争では、官軍としての立場が逆転し、旧幕府軍が賊軍とされました。この時、朝廷は明治新政府に抗う者たちを賊軍と認定し、多くの有力武士がその対象となりました。

世界の賊軍

賊軍の概念は、日本だけでなく、国際的にも見ることができます。外国の軍隊や勢力が日本に侵略した場合（例えば、蒙古襲来など）は、これらの国の軍も「賊軍」として位置づけられました。

勝者の定義

「勝てば官軍、負ければ賊軍」という言葉が示す通り、結局は勝利した側が正当化される傾向があります。このため、歴史的に賊軍として名のある者が、後に勝者に転じたこともあるのです。南北朝時代においては、足利尊氏が最終的な勝者となり、北朝から見れば彼も官軍とされつつ、南朝からは賊軍とされました。このように、賊軍の定義は勝敗によっても左右されます。

結論

賊軍という概念は、日本の歴史において重要な位置を占めており、時代や状況に応じてその定義や認識が異なることがあります。これにより、賊軍はただの反抗勢力ではなく、時には文化や歴史を構成する重要な要素として捉えられることも少なくありません。

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