賢所

賢所（かしこどころ）についての詳細

賢所とは日本の宮中に位置し、天皇が居住する特別な場所であり、三種の神器の一つである八咫鏡が祀られています。この八咫鏡は、天照大神の御霊代としての神体とされており、賢所は日本の皇室における重要な神聖な場として位置づけられています。現在の皇居における賢所は、宮中三殿の一つとして、他の殿堂との区別が際立っています。

宮中三殿の構成

宮中三殿は南に面して配置されており、中央に賢所、西側には皇霊殿、東側には神殿があります。賢所は、その中で最も高貴とされ、床の高さが他の二殿より約一尺高く設計されています。また、賢所は三つの区域に分かれており、皇族が入ることができる外陣、天皇と皇后だけが入室可能な内陣、そして、天照大神を祀る内々陣があります。内陣には常夜灯が二基設置されています。

この賢所の名称には様々な明記があり、「恐所」、「畏所」、「威所」、「尊所」、「貴所」などが当てられています。また、賢所では毎朝日供が行われ、天皇に仕える侍従によって代拝が行われる神事が執り行われています。これらの神事は、毎日欠かすことなく継続されており、一年を通じて様々な祭りが行われています。特に重要な神事には、10月の神嘗祭や12月の御神楽があります。

歴史的背景

天照大神から授けられた神鏡は、代々皇室に伝わり続けてきました。「同床共殿」という神勅に基づき、皇居内に神鏡が奉安されています。『日本書紀』によると、崇神天皇の時代、第十代の天皇において神鏡が皇居から移されたと記されています。平安時代中期には、内裏の焼失などにより賢所も移動され、新たに適切な場所へ補填されることとなりました。

室町時代には、春興殿が賢所となり、そこからの記録は『名目抄』に見られます。また、室町時代以降、内侍所は禁裏小番によって守られ、これにより賢所の神事が再興されました。特に応仁の乱の際には内侍所が避難先に移設され、その神事が他の朝儀に先立って行われるなど、賢所の神事が優先されることが明確となります。

江戸時代に入ると、貞享・元禄期以降には民間の参詣も許可され、賢所は多くの人々が訪れる場となりました。また明治時代に突入すると、賢所は東京に遷り、新たに神殿が造営されることとなりました。このように、賢所は長い間日本の祭祀や文化に根付いてきた場所としての重みを持ち続けています。これからも日本の神道と天皇制における重要な地位を保ちながら、歴史を紡いでいくことでしょう。

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