賤機舎

賤機舎について

賤機舎（しずはたしゃ）は、1872年に設立された私立英学校で、静岡において旧徳川幕臣によって創立されました。この学校は、明治時代の日本における教育機関の一つであり、その歴史は静岡藩の藩士のための学問所から始まります。

学問所の設立と発展

静岡藩の方針により、旧幕臣の教育を目的とした静岡学問所が設立されました。創設当初から、勝海舟という著名な人物が関与し、アメリカ人教師を招聘する構想を持っていました。この取り組みは、まさに当時の教育のあり方に影響を与えた重要なものでした。

1871年、グリフィス宣教師の推薦を受け、E・W・クラークが静岡学問所に赴任しました。クラークは倫理や歴史など、幅広い科目を教え、自宅でバイブルクラスも開いて地域の教育に貢献しました。また、文部省設立を推進した人見寧は、学問所の大長（校長）の役割を担当しました。

賤機舎の設立とキリスト教の影響

1872年、静岡学問所が廃止となり、これを受けて人見寧が賤機舎を再編成しました。この過程で、デイヴィッドソン・マクドナルドが新たな教師として招聘されました。彼も前任のクラーク同様、牧師館でのバイブルクラスを実施し、キリスト教の信仰を学生に伝えました。合同した契約書には、キリスト教の宣教を禁ずる条項が盛り込まれていましたが、岩倉具視の特別な配慮によって、実質的にはキリスト教的教育が行われていました。

1872年の9月27日には、マクドナルドが11名の学生に洗礼を授け、この学生たちを中心に静岡教会が形成されました。この静岡教会は、後に地域コミュニティの中心的な存在となり、山中笑や土屋彦六などの著名なメンバーが含まれていました。このように、賤機舎は単なる学校としてだけでなく、キリスト教的なコミュニティとしても機能しました。

賤機舎の年表

賤機舎の歴史は明治元年から始まり、様々な出来事が交錯しました。1868年には、駿府藩主となった徳川家達が駿府学問所を設置しました。1871年には静岡藩への移行が行われ、駿府学問所は静岡学問所へと改編されました。1872年には、学制の整備に伴い静岡学問所が閉校となり、賤機舎として新しくスタートを切りました。

その後、1874年にはデイヴィッドソン・マクドナルドが賤機舎に赴任し、同年に開かれた洗礼式を契機に静岡教会が発足しました。これにより賤機舎は教育の場だけでなく、宗教的なコミュニティとしても重要な役割を果たすようになりました。

まとめ

賤機舎は、日本の近代教育の黎明期において重要な位置を占める学校でした。その設立や運営に関わった多くの教師や幕臣たちの努力が、今日の日本の教育制度に大きな影響を与えました。また、この学校はキリスト教の普及にも寄与し、教育と信仰が融合した独自のコミュニティを形成しました。賤機舎の歴史は、明治時代の日本社会における教育改革の重要な一端を示していると言えるでしょう。

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