杖罪

杖罪（じょうざい）とは

杖罪または杖刑は、律令法において定義された五刑の中の一つであり、笞刑の次に軽度な刑罰として位置付けられています。この刑罰は木製の杖を用い、主に受刑者の背中または臀部を打つことによって実施されました。日本の大宝律令や養老律令では、この刑罰が「杖」と明記されています。

杖の仕様

杖罪で使用される杖は、特定の規格が定められていました。具体的には、杖の手元の太さは約12ミリ[[メートル]]、先端は約9ミリ[[メートル]]、全長は約1メートル5センチとされていたのです。また、受刑者の皮膚を破ることがないよう、杖の表面には節目や凹凸が削られた、いわゆる「常行杖」が使用されました。この規格に反して槌のように使用された場合には、別途拷問器具として「訊じん杖」なども存在しました。

執行の流れ

杖罪を受ける者は、あらかじめ刑具を付けずに獄に拘禁されます。杖刑の回数は、犯罪の重さに応じて60回から100回の5段階に分類され、執行者が過剰な力を使った場合には、場合によっては処罰を受けることもありました。笞刑についての権限は郡司が持っていましたが、杖罪に関しては国司がその決定権を持ち、必要に応じて専決も可能でした。また、在京諸司で罪が発覚した場合は、杖刑以下の判断は各諸司の専決事項とされていました。さらに、帳内や資人が本主の命に背いた場合には、本主自身が杖罪以下を執行することが認められました。

罪の回避と贖銅

受刑者は、杖の回数に見合う斤量の銅を納めることで罪を回避する（贖銅）こともできました。この制度は、社会の中で受刑者がその罪を減免する手段の一つとなっていました。

杖罪の歴史

中国の正史である『隋書』にも、このような刑罰の存在が記述されています。特に「俀國（倭国）」において、7世紀初頭にはすでに杖罪が行われていたことが確認されており、その起源は6世紀にまで遡ることができます。

時代が進むと、明の時代には、皇帝が官僚に対して直接に杖刑を命じる「廷杖」と呼ばれる超法規的な措置が認められていました。

他の文化における類似の制度

日本以外でも、このような刑罰が存在した例があります。アイヌ社会では、コタンにおいて重罪を犯した者に対して制裁棒（ストゥ）で打つ刑罰が行われていました。また、マレーシアでは2018年に宗教裁判に基づいて、公開による杖打ち刑が執行される事例が見られました。このように、杖罪は古代日本の刑罰制度において重要な位置を占めていたことがわかります。

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