徒罪

徒罪（ずざい）と徒刑（ずけい）の概要

徒罪または徒刑とは、日本の古代律令法における五刑の一つであり、階級としては三番目に重い刑罰とされています。この刑罰は、一般的に受刑者を一定期間拘禁し、その間に強制的に労役を課すものであり、今日の懲役刑や自由刑に似た性質を持っています。日本の大宝律令や養老律令においては、単に「徒」と表記されています。

歴史的背景

この制度は、日本において律令制が確立される際に導入された数少ない刑罰のひとつです。記録によれば、『日本書紀』の676年の条において初めてその存在が確認されました。徒刑の期間は1年から3年までの間で、半年前ごとの5段階に分類されていましたが、特に私鋳銭の製造による罪の場合は、例外的に終身刑にまで及ぶことがありました。

労役の内容

受刑者は、畿内においては都の建設や清掃業務に従事することが求められました。また、女性受刑者は裁縫や精米などの作業に振り分けられました。この労役の実施状況については、弾正台が監督し、厳密に確認していました。地方においても、ほぼ同様の措置が適用されていました。

受刑者には10日に1日、休暇が与えられていましたが、その休暇中の食糧については原則として自分自身で用意しなければなりませんでした。また、病気等で労役ができない場合には、その期間は猶予されるものの、回復後は猶予期間分の刑期が延長されるという厳しい規定がありました。さらに、受刑者の家庭に他の働き手がいない場合や受刑者が賎民の身分にある場合には、杖刑によって代替される措置も取られていたことが記録されています。

諸藩での再導入

時が経つにつれ、社会の荒廃や戦乱が影響し、以上のような徒刑制度は次第に廃れていきました。しかし、江戸時代中期に熊本藩において施行された刑法草書によると、明や清の律令法の影響を受けて、再び「徒刑」が導入されることとなりました。この流れを受け、他の藩の法令にもこの刑罰が取り入れられていくことになります。徒刑は、単に罰としての役割のみならず、社会復帰に向けた一定の役割も果たしていたと考えられています。

このように、徒罪や徒刑は日本の法制史において重要な位置を占めており、その実施状況や影響については今なお研究が続けられています。

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