赤い奇跡

赤い奇跡

『赤い奇跡』（あかいきせき）は、2006年4月9日と10日の二夜にわたり、TBS系列で放送されたスペシャルドラマです。かつて絶大な人気を博した「赤いシリーズ」の一作として制作され、シリーズ全体では第11作目に位置づけられます。特筆すべきは、本作が『赤い迷路』以来、実に26年ぶりとなる完全新作として企画・制作された点にあります。

制作背景とその変遷

本ドラマは、ホリプロダクション創立45周年、山口百恵さんの引退25周年、そしてTBSテレビ開局50周年という、三つの大きな節目を記念する企画の一環としてスタートしました。当初の計画では、「赤いシリーズ」のリメイク三部作の最終章として、山口百恵さん主演で人気を博した『赤い衝撃』を、深田恭子さんを主演に迎えてリメイクする予定でした。

しかし、先行して放送されたリメイク版『赤い疑惑』（主演：石原さとみさん）と『赤い運命』（主演：綾瀬はるかさん）が期待されたほどの視聴率を得られなかったことに加え、「深田恭子さんのイメージが陸上選手の役柄にあまり合わないのではないか」という意見が出たことから、企画は大幅な見直しを迫られます。結果として、『赤い衝撃』のリメイク案は白紙となり、設定をフィギュアスケート選手へと変更。さらに舞台も放送当時の現代へと移されることになりました。これにより、本作はリメイクではなく、全く新しい物語を持つ「赤いシリーズ」の完全新作として制作されることになったのです。

キャスト

物語の中心となる主人公・関口輪子を深田恭子さんが演じ、幼少期は岩本千波さんが担当しました。共演には、沢田透役で徳重聡さんが出演。主人公の家族や周囲の人々を、萬田久子さん（関口百合子役）、石原良純さん（関口吾郎役）、永島敏行さん（西川太役）、林泰文さん（西川朗役）といったベテランから若手まで、多彩な俳優陣が固めています。また、フィギュアスケート選手の設定にちなみ、実際のフィギュアスケーターである浅田舞さんも松田舞子役で出演しています。

その他の主要キャストには、神田うのさん（栗原冬華役）、池内博之さん（山田和樹役）、平泉成さん（柿沼邦夫役）、佐藤仁美さん（柿沼弥生役）、鈴木ヒロミツさん（原田賢作役）、馬渕英俚可さん（梅田かおり役）、中島久之さん（石田刑事役）、池田努さん（坂本英幸役）、坂上二郎さん（小林栄作役）、そして竹中直人さん（大原優雅役）などが名を連ねています。限られた放送回数ながら、多くの実力派俳優が登場し、物語を彩りました。

スタッフ

脚本は瀧川晃代さんが手掛け、演出は冨塚博司さんが担当しました。企画協力には、過去のシリーズも手掛けてきた大映テレビが参加しています。製作はホリプロとTBSが共同で行い、菅井敦氏、長坂淳子氏、井上竜太氏がプロデューサーを務めました。

使用された楽曲

ドラマ内で印象的に使用された楽曲として、エルトン・ジョンの名曲『ユア・ソング』や、山口百恵さんの代表曲の一つである『さよならの向こう側』が挙げられます。

視聴率

ビデオリサーチ社調べ（関東地区）による視聴率は、第1話が9.3%、第2話が8.3%でした。

その他

本作は後にDVD化されており、『赤い奇跡 DVD-BOX』としてリリースされています。また、放送当時にはTBSの公式サイトや、TBSチャンネルのウェブサイトで情報が公開されていました。

「赤い奇跡」は、記念企画としてスタートしたものの、先行作品や主演俳優のイメージといった要因から計画が変更され、結果として「赤いシリーズ」におけるユニークな完全新作として制作された経緯を持つ作品と言えるでしょう。フィギュアスケートを題材にした現代ドラマとして、往年のシリーズとは異なるアプローチで視聴者に届けられました。

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