赤い手は滅びのしるし

赤い手は滅びのしるし (Red Hand of Doom)

「赤い手は滅びのしるし」は、ダンジョンズ&ドラゴンズ第3.5版(D&D)用にデザインされた、128ページに及ぶ大規模なアドベンチャーモジュールです。このモジュールは、それ自体が完結した冒険として楽しめるように設計されており、グレイホーク、フォーゴトン・レルム、エベロンといったD&Dの主要なキャンペーンセッティングのいずれにも組み込むことが可能です。日本語版は2007年に発売されました。

ゲームプレイ

このアドベンチャーは、通常6レベルから12レベルのキャラクター向けとされていますが、実際には5レベルから11レベルのキャラクターでプレイすることを想定してデザインされました。また、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社がD&Dアドベンチャーにおいて、デザイナーノートを積極的に活用した最初の例としても知られています。プレイヤーは、この壮大な冒険を完了させるまでに数週間から数ヶ月を要することが見込まれます。

プロット

物語は、冒険者たちがエルシア谷という辺境の地に足を踏み入れるところから始まります。彼らはすぐに、カリスマ的なハーフドラゴンの将軍、アザール・クルに率いられた大規模なホブゴブリンの軍勢に遭遇します。この軍勢は、狂信的な暗黒の女神ティアマトに仕えており、谷を脅かしています。プレイヤーは、谷の住民を団結させ、ホブゴブリン、巨人、そしてドラゴンといった強大な敵と戦い、圧倒的な敵を打ち破らなければなりません。

出版の経緯

ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は、「赤い手は滅びのしるし」を出版する以前は、2002年初頭からD&Dアドベンチャーの出版を控えており、その間は他のシステム向けにいくつかの冒険を出版するにとどまっていました。「赤い手は滅びのしるし」の出版は、同社にとってD&Dアドベンチャー出版の再開を告げる転換点となり、同年には他の5つのD&Dアドベンチャーも出版され、2007年から2008年にかけて割引価格で販売されました。

このモジュールは、「デザイナー・ノート」を導入した最初のD&Dアドベンチャーでもあります。デザイナー・ノートでは、シナリオの作成者が、デザインプロセスにおける決定事項を説明し、プレイヤーに追加のアドバイスを提供しています。また、同様の形式で、ダウンロード可能なPDFコンテンツであるモンスターのデータブロックも提供されました。

著者たちは、この冒険を自己完結型として意図しており、その後の出版物で物語を継続させる予定はありませんでした。しかし、第4版向けに制作されたアドベンチャーパス「Scales of War」は、「赤い手は滅びのしるし」と同じ場所から始まり、マップを再利用していますが、すぐに独自の地理と歴史へと分岐していきます。

日本語版

2007年4月には、D&D3.5版に対応したシナリオとして、日本語版が発売されました。英語版と同様に、全ページがフルカラーで印刷されており、両面ポスターマップが付属しています。

評価

「赤い手は滅びのしるし」は、出版当時から高い評価を得ており、多くの評論家が長年にわたり、本作を最高のアドベンチャーの一つとして挙げています。その内容と品質は、「元素邪霊の寺院」や「国境の城塞」といった往年の名作と比較され、好意的に評価されています。デザイナー・ノートやダウンロード可能なコンテンツの提供も、評価の対象となっています。出版物全体にわたるアートワークも高く評価されており、Howard Jonesは「素晴らしい」と評しています。

キャンペーンの汎用性の高さは、強みであると同時に、制約にもなり得ると評されています。既存のキャンペーンやゲーム世界に容易に組み込むことができる一方で、標準的ではないキャンペーンに組み込むことは困難であり、そのような作業をサポートするための十分な情報が提供されていないという意見もあります。

D&Dの入門書の一つである「Dungeon Master for Dummies」では、「赤い手は滅びのしるし」が第3版のベストアドベンチャー10選の一つに選ばれています。

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