赤い糸 (小説)

赤い糸

『赤い糸』は、メイによって執筆されたケータイ小説であり、後にテレビドラマ、映画、漫画、ゲームといった様々なメディアで展開された作品群の総称です。

概要

2006年7月にケータイ小説サイト「魔法の図書館」に掲載され、瞬く間にランキング1位を獲得。その後も長期間にわたりトップを維持し、2007年には書籍化されました。単行本は現在5巻まで刊行され、累計発行部数は330万部を超えています。特に女子中高生からの支持が厚く、社会現象を巻き起こしました。

ストーリー

物語は、主人公の芽衣を中心に展開します。

赤い糸

芽衣は、姉の春菜と幼なじみの悠哉といつも一緒に過ごしていました。芽衣は悠哉に密かな恋心を抱いていましたが、悠哉が姉の春菜に好意を寄せていることを知り、自分の気持ちを隠すことを決意します。

中学生になった芽衣は、級友のアツシと交際を始めますが、アツシは他の女性とも関係を持ち、ドラッグを使用した性交渉など、破滅的な行動を繰り返します。失恋のショックから、芽衣はコータと肉体関係を持つようになり、親に反抗して家を飛び出します。不良に絡まれ、友人とともに性的暴行を受け、友人は自殺未遂を起こし記憶喪失に。さらに、自身が養子であることを知り、両親が離婚するなど、過酷な経験を重ねていく中で、たかチャンと出会います。しかし、たかチャンは芽衣の親友である沙良が好意を寄せていた相手でした。芽衣は友人との関係を裏切りながらもたかチャンと付き合い始めますが、彼の嫉妬や暴力に苦しみ、別れを決意します。芽衣の友人である優梨とナツの間には子供が生まれるなど、様々な出来事が起こります。

赤い糸 destiny

ある時、昔の友人たちが集まる場所で、アツシが別の女性（麻美）と一緒にいるのを目撃し、芽衣は動揺します。芽衣は、父親の病気平癒を神社で祈るアツシの姿を見て、心を揺さぶられます。しかし、芽衣がドラッグパーティーから持ち帰った薬物を友人の美亜が使用してしまい、薬物中毒に陥ってしまいます。

芽衣は美亜への罪悪感と対応に苦しみ、人格障害を抱えた麻美からの嫌がらせにも苦しめられます。最終的に、芽衣はアツシと付き合うことになりますが、麻美からの嫌がらせは止まりません。麻美は、アツシの母親が経営する店への融資妨害や、芽衣の性的暴行事件を公にするなどして、芽衣とアツシの関係を壊そうとします。しかし、アツシが芽衣を車から守ったことをきっかけに、麻美は嫌がらせをやめます。その後、芽衣の実母に関する事実が語られ、アツシが芽衣の実母のホステス仲間の息子であることが判明します。

数々の困難を乗り越えた芽衣とアツシは、最終的に赤い糸で結ばれ、結婚することになります。

赤い糸 precious

芽衣とアツシは結婚式を控えていましたが、アツシが就職後、会社の上司との付き合いで帰りが遅くなることが多くなり、芽衣との間にすれ違いが生じます。アツシがキャバクラに行ったことを芽衣に隠していたことが発覚し、二人は別居することになります。芽衣は悩みながらも、最終的にアツシと再び一緒に暮らすことを決め、結婚式を迎えます。

書籍情報

ゴマブックスより2007年に単行本が発売されました。単行本は、タイトルを意識して本文が赤い文字で印刷されています。2009年にはゴマ文庫から文庫版が刊行されています。

単行本

赤い糸（上／下）2007年1月26日（同時発売）
上 ISBN 4777105504
下 ISBN 4777105512
赤い糸 上・下クリスマスBOX（上記のセット販売） 2007年10月18日 ISBN 4777107701
赤い糸 destiny（上／下）2007年5月25日（同時発売）
上 ISBN 4777106438
下 ISBN 4777106446
赤い糸 precious 2007年11月30日 ISBN 4777108171

文庫版

赤い糸（上／中／下）2009年4月28日（同時発売）
上 ISBN 4777151069
中 ISBN 4777151077
下 ISBN 4777151085
赤い糸 destiny（上／中／下）2009年4月28日（同時発売）
上 ISBN 4777151255
中 ISBN 4777151263
下 ISBN 4777151271
赤い糸 precious（文庫版） 2009年4月28日 ISBN 477715128X

評価・批評

著述家の本田透は、本作の正編のみを読めば、刹那的に恋愛経験を重ねる少女の物語として評価できるが、続編まで読むと、最終的には真実の愛を見つけるというケータイ小説の典型的なパターンを繰り返しているにすぎないとしています。

速水健朗は、ケータイ小説全般に浜崎あゆみの歌詞の影響が見られると指摘しており、本作のタイトルにある「運命の赤い糸」は、浜崎あゆみの楽曲「trust」によってケータイ世代に広まった概念であるとしています。また、本作のストーリー自体もこの曲の歌詞をなぞっていると述べています。さらに、デートDVがケータイ小説で多く描かれるという議論において、本作のたかチャンによる芽衣への束縛をデートDVの典型例として挙げています。

漫画

ゴマブックスより、柏屋コッコ作画によるコミカライズ版が発売されました（出版社倒産のため未完）。

コミック赤い糸
2008年11月1日、ISBN 978-4-77-719075-1
2008年11月1日、ISBN 978-4-77-719076-8
2008年11月29日、ISBN 978-4-77-719077-5
2009年1月30日、ISBN 978-4-77-719078-2
2009年3月30日、ISBN 978-4-77-719097-3
2009年5月29日、ISBN 978-4-77-719105-5

映画・テレビドラマ

2008年4月、フジテレビがテレビドラマ化と映画化を企画し、同時期に放送・公開されました。撮影は2008年7月から2009年2月にかけて行われました。ドラマは2008年12月6日からフジテレビ系の土曜ドラマ枠で放送され、映画は2008年12月20日に公開されました。映画の配給は松竹が担当し、監督は共同テレビの村上正典が務めました。

ドラマと映画は、キャストとスタッフが同一で、並行して物語が展開されました。ドラマの後半で真のラストを迎えるというメディアミックス展開が特徴です。

キャッチフレーズは「純愛はキレイゴトじゃない。」。原作の過激な描写から、ストーリーは大幅に変更されています。

キャスト

竹宮芽衣：南沢奈央（幼少期：宮武美桜）
西野敦史（アッくん）：溝端淳平（幼少期：沢木ルカ）
高橋陸（たかチャン）：木村了
山岸美亜：岡本玲
田所麻美：石橋杏奈
中川沙良：桜庭ななみ
藤原夏樹（ナツ）：柳下大
中西優梨：鈴木かすみ
神谷充（ミツ）：田島亮（現：田島優成）
竹宮春菜：岩田さゆり
篠崎悠哉：矢崎広
川口ミヤビ：平田薫
安田愁：若葉竜也
コータ：山田ジルソン
ユリ：中村朝佳
アイちん：米村美咲
由希：池田愛
のぞみ：柊瑠美

スタッフ

テレビドラマ版
脚本：渡辺千穂、半澤律子
音楽：菅野祐悟
プロデューサー：関谷正征、種田義彦（フジテレビ）、森安彩（共同テレビ）
演出：村上正典（共同テレビ）、川村泰祐（フジテレビ）
制作：フジテレビ、共同テレビ
映画版
脚本：渡辺千穂
音楽：菅野祐悟
プロデューサー：種田義彦、関谷正征（フジテレビ）、森安彩（共同テレビ）
監督：村上正典（共同テレビ）
制作：共同テレビジョン
提供：フジテレビジョン、松竹、FNS27社
配給：松竹

テーマソング

主題歌：HY「366日」
挿入歌：lego big morl「Ray」

映像ソフト

テレビドラマ：赤い糸DVD-BOX(2009年7月15日発売)
映画：赤い糸スペシャルエディション(2009年5月29日発売)
赤い糸スタンダードエディション(2009年5月29日発売)

ゲーム

ニンテンドーDS用ゲームソフトとして、2008年12月25日にアルケミストから発売されました。続編の『赤い糸 destiny DS』も2009年3月26日に発売されました。

ゲームは、ゲーム機本体を縦に持って読み進める形式で、主人公の芽衣以外はフルボイスで音声が実装されています。途中で選択肢があり、マルチエンディングが採用されています。『赤い糸DS』では4つ、『赤い糸 destiny DS』では3つのエンディングが追加されています。

キャスト

芽衣：なし
アッくん：福山潤
たかチャン：森田成一
悠哉：浪川大輔
ナツくん：高橋広樹
ミツ：高橋直純
芽衣の父：藤原啓治
芽衣の母：川澄綾子
海斗：杉田智和
コータ：森川智之（第1作のみ）
美亜：三瓶由布子
優梨：前田愛
春菜：能登麻美子
沙良：花澤香菜
麻美：長沢美樹
アッくんの母（西野夏実）：中川玲
菜穂：こやまきみこ（第1作のみ）
酒井：津田健次郎（第2作のみ）
のぶサン：小川輝晃（第2作のみ）
吉岡弘子：南條愛乃（第2作のみ）
ミヤビ：山口理恵（第2作のみ）

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