赤い紙、青い紙

赤い紙、青い紙：日本の学校怪談の謎

日本の学校に伝わる都市伝説の一つに「赤い紙、青い紙」があります。夕暮れの学校トイレで、用を足した生徒がトイレットペーパーを探すと、どこからか「赤い紙が欲しいか？青い紙が欲しいか？」と不気味な声が聞こえてきます。

「赤い紙」と答えると、全身から血が吹き出し死亡。「青い紙」と答えると、血液を抜き取られ、全身が青ざめて絶命する、という恐ろしい話です。この怪談は、地域や時代によって様々なバリエーションが存在します。

古くからの伝承と複数の起源説

この怪談の起源は古く、1930年代の奈良市では既に小学生の間で広まっていました。当初は「赤い紙やろか、白い紙やろか？」という表現だったとされ、「トイレの花子さん」よりも古い伝承を持つと考えられています。

そのルーツについては諸説あります。一つは、学校でのテストに対する恐怖心が反映されたという説です。「正しい答えを選ばないと悲劇が起きる」という設定が、テストで失敗する恐怖心を象徴しているという解釈です。

別の説として、節分の夜に便所に出没する妖怪「カイナデ」との関連性が指摘されています。京都の伝承では、カイナデを避けるために「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」と唱える風習があり、それが学校怪談へと変化した可能性が考えられています。

さらに、便所神に紙人形を供える風習との関連性も指摘されています。茨城県真壁郡では、青と赤、または赤と白の紙人形を便所に供える習慣があり、この神への供物が、怪異へと変化していったという説です。

バリエーションと派生系

「赤い紙、青い紙」以外にも、「赤いマント、青いマント」「赤い手、青い手」「赤い舌、青い舌」など、様々なバリエーションが存在します。結末はどれも恐ろしいものですが、具体的な描写は地域によって異なります。

例えば、「赤い紙」を選ぶと天井から血の雨が降る、鎌で切られて血まみれになる、などといった描写や、「青い紙」を選ぶと首を絞められて青ざめる、便器から手が伸びてくるといったバリエーションがあります。

また、「青い紙はない」と返されて「赤い紙」を選ぶしかない状況や、トイレから逃げ出せないといった状況設定も存在します。さらに、特定のトイレでこの怪異が起こるという話も伝わっています。東京都小平市の小学校では、選択によって赤い紙または青い紙が落ちてきて、それを触ると体がその色になるという話がある一方で、大阪府泉北郡の小学校では、「赤い紙」と答えると天井から血が、「白い紙」と答えると下から白い手が伸びてくるという伝承があります。

助かる方法として「黄色い紙」など、違う色を答えるという説や、逆に赤青以外を答えると冥界に引きずり込まれるという説、何もいらないと答えるのが良いという説など、様々なバリエーションが存在し、その多様性もこの怪談の魅力となっています。質問する相手が、長身で青白い顔の男というパターンもあるようです。

類話と関連作品

「赤い紙、青い紙」と似たような怪談として、「赤い半纏」が知られています。女生徒がトイレで「赤い半纏着せましょか」と声を聞きます。警察が調査に入ったところ、婦警が同様の声を聞いた後、血まみれで倒れるというものです。稲川淳二の怪談にも類似の話があり、戦時中の神風特攻隊員の怨念が関係しているという説があります。

この怪談は、映画『学校の怪談2』やアニメ『学校の怪談』、漫画『花子と寓話のテラー』『怪談レストラン』『地獄先生ぬ〜べ〜』など、様々な作品に登場し、現代にも語り継がれています。長野県小諸市では、この話をした者が急死したという話も伝わっています。

まとめ

「赤い紙、青い紙」は、古くから伝わる日本の学校怪談であり、その起源やバリエーションは多岐に渡ります。テストの恐怖心、妖怪、便所神、そして戦争の悲劇など、様々な要素が複雑に絡み合い、現代まで語り継がれる不気味で魅力的な都市伝説となっています。その恐ろしい結末と、地域によって異なるバリエーションは、聞く者の想像力を掻き立て、現代においてもなお、人々の心に恐怖と好奇心を抱かせる存在であり続けています。

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