赤ちゃんは知らん顔

トムとジェリー『赤ちゃんは知らん顔』：ドタバタ劇と意外な結末

1958年8月1日公開の『赤ちゃんは知らん顔』（原題：Tot Watchers）は、トムとジェリーを主人公とする短編アニメーション作品です。ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが製作・監督を務め、ハンナ・バーベラ・プロダクションによるトムとジェリーシリーズ最後の作品として知られています。

物語は、買い物に出かけたジョアン夫人の代わりに、少女ジニーが赤ちゃんの面倒を見ることから始まります。しかし、ジニーは友だちとの電話に夢中になり、赤ちゃんの世話はおろそか。その隙に、ジェリーを追いかけるトムが赤ちゃんを乗せたベビーカーに辿り着き、騒動が勃発します。

トムとジェリーは、ハイハイで逃げ出した赤ちゃんを連れ戻そうとしますが、ジニーは彼らの行動を「赤ちゃんへの虐待」と誤解し、ほうきでトムを殴りつけるなど、次々と災難に見舞われます。さらに、犬小屋に住むスパイクにも襲われ、追いかけっこは危険な工事現場へと発展。命がけで赤ちゃんを救出するハメになります。

一方、赤ちゃんの失踪に気づいたジニーは警察に通報します。疲労困憊のトムとジェリーは、赤ちゃんを無事に連れ戻したにも関わらず、ジニーの誤解と一方的な証言によって、誘拐犯として逮捕されてしまうのです。警察官は当初、トムとジェリーの「赤ちゃんがハイハイしていた」という証言を信じませんでしたが、偶然にもその光景を目撃し、言葉を失います。そして、その騒動をよそに、赤ちゃんは再び姿を消してしまうという、なんとも奇妙な結末を迎えます。

本作に登場するキャラクターは、お馴染みのトムとジェリーに加え、不注意なベビーシッターのジニー、赤ちゃん、スパイク、そしてジョアン夫人、警察官など、個性豊かな面々が物語を彩ります。トムとジェリーは、赤ちゃんを取り戻そうと奔走するも、ジニーの誤解や、スパイクとの遭遇、そして最終的には警察の誤認逮捕という、数々の困難に直面します。彼らのコミカルな動きと、予測不能な展開が、視聴者を飽きさせません。

『赤ちゃんは知らん顔』は、トムとジェリーシリーズの中でも特に記憶に残る作品の一つと言えるでしょう。ハンナ・バーベラ時代の集大成として、彼らの才能とユーモアが凝縮された、見逃せない一作です。日本では、TBS系列などで1964年から1990年頃まで放送され、DVDにも収録されています。

スタッフ

製作・監督：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ
作画：ケネス・ミューズ、ルイス・マーシャル、ジェームス・エスカランテ
脚本：ホーマー・ブライトマン
背景：ロバート・ジェントル
レイアウト：ディック・ビッケンバック
音楽：スコット・ブラッドリー

主なキャラクター

トム：ジェリーと共に赤ちゃんを連れ戻そうとするが、様々な災難に見舞われ、最終的には誤認逮捕される。
ジェリー：トムと共に赤ちゃん救出に奔走するが、誤認逮捕される。
ジニー：ベビーシッターだが、責任感に欠け、トムとジェリーを誤解する。
赤ちゃん：ベビーカーから脱走し、トムとジェリーを巻き込み大騒動を引き起こす。
警察官：ジニーの一方的な証言を信じて、トムとジェリーを誤認逮捕する。
スパイク：トムを叩きのめす。
* ジョアン：赤ちゃんの母親で、買い物に出かける。

この作品は、トムとジェリーのコミカルなアクションと、予想外の展開、そして少し皮肉めいた結末が絶妙に絡み合った、忘れがたい作品となっています。

もう一度検索