赤バス

赤バス（あかバス）

赤バスは、大阪市交通局（現在の大阪市高速電気軌道や大阪シティバス）により運行されていた地域密着型のコミュニティバスです。その名の通り赤い車体が特徴で、2000年の運行開始に至るまでに、市民からの公募で名称が決定されました。赤バスは、大阪市内の住宅地や病院、商店街、鉄道駅、区役所などの公共施設を細やかに結ぶ役割を果たしました。

概要

赤バスは、一般の路線バスでは行き届かない地域へのアクセスを提供するために、2000年5月20日に試行運行を開始し、2002年1月には21路線で本格運行に入ります。運行は、大阪市交通労働組合との共同出資で設立された大阪運輸振興（現・大阪シティバス）に委託されていました。運賃は100円均一で後払い制であり、スルッとKANSAIカードの表示は他の一般路線バスとは異なり、「大交BUS」と記載されていることから、利便性に関する工夫が伺えます。また、赤バス専用キャラクター「アカバスチャン」が存在し、市民の親しみを得ていました。

廃止の経緯

赤バスは最大で29路線が運行されましたが、時間帯や利便性の面で問題が浮上し、特に通勤での利用がしづらかったのが悩みの種でした。こうした理由から、都心部を中心に減便が続き、2008年には初の路線廃止が発生しました。2009年3月に赤バスの全面廃止が示唆され、2012年には26路線が廃止され、残りの3路線もその後の見直しの過程で一般路線に移行することとなります。

2013年3月31日、赤バスは最終的に26路線を廃止し、その後一部の路線は一般路線に編入されました。この廃止により、多くの地域での公共交通機能が失われ、一部は民間事業者に委託されてコミュニティバスが運行されるケースも見られましたが、その後も多くが廃止に追い込まれる結果となります。

利用実績

2003年に行われた調査によれば、赤バスの収支状況は10%以下と厳しく、乗客数も半数以下となることが多く、経営的に成り立たなくなる要因となりました。2009年度の見込みでは平均乗客密度がわずか4人だったことも、赤バス廃止の決定的な要因となりました。

車両の変遷

運行が開始された当初は、国産小型バスがなかったため、スウェーデン製のマルチライダーという輸入車両が使用されましたが、これらの車両は故障が多く、維持管理コストが高くつく問題がありました。以降、メルセデス・ベンツのミニバスや日野・ポンチョが導入され、特に日野・ポンチョは廃止後も一般路線へと転用されることが計画されました。

結論

赤バスの運行は地域交通の便宜を提供する重要な試みでしたが、利用促進や継続運営の難しさが宿命づけられ、結果的に多くの路線が廃止へと至りました。今後の地域交通においては、より効率的で持続可能な運営モデルの検討が重要であると言えるでしょう。

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