赤十字血液センター

日本赤十字血液センター：国民の生命を守る血液供給体制

日本赤十字血液センターは、全国の医療機関に輸血用血液を供給する、日本赤十字社の中核施設です。安全で質の高い血液製剤を安定的に供給するという重要な役割を担っており、その事業は、2003年施行の『安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律改正法』をはじめ、薬事法や医師法などの関連法規に基づいて運営されています。

事業内容：安全な血液製剤の供給

同センターの主要な事業は、医療機関が必要とする輸血用血液の採血、製造、そして供給です。近年、血液製剤の安全性確保のための費用は増加傾向にあり、一方で血漿製剤を中心に使用量が減少していることから、慢性的な赤字経営という課題に直面しています。この課題に対処するため、効率的な運営や拠点の集約化などが進められています。

組織体制：4部門による連携

血液センターは、大きく分けて採血、検査、製剤、供給の4部門から構成されています。GMP（医薬品製造管理及び品質管理基準）の観点からは、採血、製造、販売の3つの業務区分に分類されます。各部門が緊密に連携することで、安全で迅速な血液製剤の提供を実現しています。

採血業務：献血者の健康への配慮

16歳から69歳までの健康な献血者から、全血または成分を採血します。献血はボランティア活動ですが、献血者には、肝機能やコレステロール値、血液検査結果などのフィードバックが提供されます。希望者には、HIV以外の感染症検査結果についても通知されます。医師による健康診断の後、看護師が採血を行います。

検査業務：感染症予防対策の徹底

輸血による感染症の拡大を防ぐため、ABO式[[血液型]]、RhD式血液型の判定に加え、HBV、HCV、HIV、HTLV-1、梅毒トレポネーマ、HPVB19など、様々な感染症マーカーについて厳格なスクリーニング検査を実施しています。さらに、HBV、HCV、HIV-1については、高感度な核酸増幅検査（NAT）を20プールで実施することで、より安全性の高い血液製剤の提供に努めています。

製剤業務：安全な血液製剤の製造

採血された血液は、遠心分離などの技術を用いて、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などに成分分離されます。血小板製剤では、血小板数の測定も行われます。輸血後におけるGVHD（移植片対宿主病）の予防のため、血漿製剤を除くほとんどの製剤には、放射線照射が行われます。各製剤の有効期限は、赤血球製剤が2～6℃保存で21日間、血小板製剤が20～24℃保存で4日間、血漿製剤が-20℃以下保存で1年間と定められています。血漿製剤は、6ヶ月間の検疫期間を経てから供給されます。

供給業務：24時間365日体制

医療機関からの血液製剤の供給依頼には、24時間体制・年中無休で対応しています。ただし、全血製剤やHLA適合血小板製剤は、依頼を受けてから製造するため、納期に時間を要します。また、血小板製剤は採血量に限りがあり、有効期限が4日間と短いことから、納品日の前日までの予約発注が必須です。緊急を要する場合は、赤色警光灯とサイレンを装備した専用車両による迅速な配送体制が整えられています。

拠点集約化：効率的な運営に向けて

2007年の報道によると、日本赤十字社は、血液製剤製造拠点の集約化を進めています。既にいくつかの血液センターでは、製剤業務の集約が行われ、効率的な運営体制の構築が進められています。これにより、コスト削減や人材の有効活用、そしてより安定的な血液供給体制の構築を目指しています。

全国の血液センター

日本赤十字血液センターは、全国に7つのブロック血液センターと、各都道府県に1つずつ計47の血液センターを展開しています。これらのセンターが連携することで、全国各地の医療機関への迅速かつ安定的な血液供給を実現しています。

献血は、国民の生命と健康を守る上で極めて重要な活動です。一人ひとりの献血が、多くの命を救うことにつながります。

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