赤坂プレスセンター

赤坂プレスセンター：都心に位置する米軍基地の現状と課題

赤坂プレスセンターは、東京都港区六本木に位置する在日米軍基地です。旧日本陸軍歩兵第3連隊の跡地を継承し、現在は星条旗新聞などの事務所、宿泊施設、ヘリポートとして機能するほか、訪日するアメリカ政府要人の拠点としての役割も担っています。敷地面積は約3万1670平方メートルで、東京都内にある7つの在日米軍基地の一つに数えられます。

歴史と変遷

1889年、旧陸軍歩兵第3連隊が麻布台に駐屯を開始したことにその歴史は始まります。2・26事件にも関与した同連隊は、その後、中国東北部への派遣などを経て、終戦とともにGHQに接収されました。1950年には、朝鮮戦争で戦死したエルマー・ハーディー伍長にちなみ、「ハーディー・バラックス」と命名されました。

戦後、赤坂プレスセンターは、アメリカ軍の各種機関の拠点となりました。米軍準機関紙である星条旗新聞の事務所をはじめ、陸海空軍のシンクタンクである研究機関のアジア出張事務所も置かれ、十数名の研究者（日本人研究者を含む）がアジアにおける情報収集活動を行っています。

基地内にはヘリポートやガレージ、宿泊施設「ハーディー・バラックス」も設置されています。宿泊施設はアメリカ軍関係者だけでなく、紹介があれば一般の日本人も利用可能です。宿泊費は1泊15～25ドルと低価格に設定され、建築費や光熱費は日本の「思いやり予算」によって賄われています。

1980年代には環状3号線の建設に伴い、ヘリポートの暫定的な移設が行われましたが、その後、元の場所に加えて移設地も使用されるようになり、ヘリポートの面積は拡大しました。東京都は返還を求めましたが、長年にわたって米軍との協議が続けられました。2007年、代替地を返還することで合意に至りましたが、東京都は依然として敷地の全面返還を要求しています。

ヘリポート問題と周辺への影響

赤坂プレスセンターのヘリポートは、アメリカ政府要人の輸送手段として重要な役割を担っており、横田基地や厚木基地との間で定期的にヘリコプターが運航されています。しかし、その運用は騒音問題や事故のリスクといった周辺住民への影響を無視できない問題を抱えています。

東京都、港区、港区議会はヘリポートの撤去を求めていますが、防衛省は、都心部における唯一の迅速な要人輸送手段として、現状では返還が困難であるとしています。一方で、防災計画の一環として、東京都は災害時の物資輸送や救急患者の搬送などにヘリポートを共同利用しています。

返還要求と反対運動

赤坂プレスセンターは、六本木という都心の貴重な土地に位置していることから、東京都は敷地の全面返還を強く求めています。騒音問題や事故リスクを懸念する周辺住民による反対運動も盛んに行われており、「麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会」を中心に、長年にわたって返還要求が続けられています。住民訴訟も起こされましたが、却下されています。

近年も、赤坂プレスセンター発着のヘリコプターによる事故が発生しており、返還要求の高まりに拍車をかけています。港区も積極的に基地の返還を働きかけています。

今後の展望

現在、在日アメリカ軍内部では、横田基地にある司令部を東京都心部に移転させる構想があり、赤坂プレスセンターが有力候補地のひとつに挙げられています。しかし、東京都による返還要求が強まる中で、この構想の実現には大きな課題が残されています。赤坂プレスセンターの未来は、日米間の外交交渉、周辺住民の意見、そして日本の安全保障政策といった複雑な要素が絡み合って決まることになるでしょう。

近隣施設

赤坂プレスセンター周辺には、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、国立新美術館、政策研究大学院大学など、多くの施設が立地しています。これらの施設との共存、そして周辺住民との調和が、今後の赤坂プレスセンターの在り方にとって重要な課題となります。

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