赤城丸 (特設巡洋艦)

赤城丸（あかぎまる）の生涯：貨物船から特設巡洋艦へ

赤城丸は、日本郵船が所有・運航した貨物船であり、太平洋戦争中に特設巡洋艦として徴用された悲劇の船です。その船歴は、貨物船としての華々しい活躍と、戦時中の悲惨な運命を対比的に示しています。

貨物船としての誕生と活躍

1935年（昭和10年）、三菱長崎造船所で起工された赤城丸は、日本郵船が欧州航路向けに建造したA型貨物船の一隻でした。当初はリヴァプール航路での運用が計画されましたが、競争激化のためハンブルク航路に変更。1938年（昭和13年）には、パナマ運河経由でハンブルクへ、帰路はスエズ運河を通過する東航世界一周航路に就航し、その優秀性を示しました。しかし、第二次世界大戦の勃発により、1939年（昭和14年）には撤退、1940年（昭和15年）には航路も休止となり、その活躍は一時中断されました。

特設巡洋艦としての徴用と戦時輸送

1941年（昭和16年）11月、赤城丸は日本海軍に徴用され、同年12月には特設巡洋艦として入籍しました。呉鎮守府に所属し、特設監視艇隊の母艦として、北方海域での警戒任務に従事。1942年（昭和17年）4月には、ドーリットル空襲の際に航行不能となった特設監視艇を救助するなど、その役割を果たしました。1943年（昭和18年）12月からは、特設巡洋艦のまま輸送任務にも従事することとなります。

輸送作戦と悲劇的な最期

1943年（昭和18年）12月下旬、赤城丸はウェーク島への輸送作戦に投入されます。しかし、1944年（昭和19年）1月、輸送作戦中に護衛の駆逐艦がアメリカ潜水艦の雷撃で大破し、作戦は一時中断。その後、輸送船団を構成してトラック諸島へ向かいますが、クェゼリン環礁の陥落により、輸送計画は変更を余儀なくされます。帰路には、トラック残留の引揚者を乗せることとなりました。

1944年（昭和19年）2月17日、赤城丸は引揚者を乗せてトラックを出港しますが、アメリカ海軍機動部隊の猛烈な空襲を受けました。度重なる攻撃により船体は炎上、火薬庫の爆発も起こり、艦長は総員退艦を命令。しかし、海上に漂う乗員や引揚者は、無慈悲な機銃掃射に晒され、多くの犠牲者を出しました。赤城丸は、10時47分ごろに沈没。その後、生存者は他の艦に救助されましたが、その後の戦闘で、救助にあたった艦も撃沈されるという悲劇に見舞われました。この空襲で、赤城丸には多くの引揚者が乗船しており、565名が犠牲となりました。艦長の黒崎林蔵大佐も、救助後に死亡しています。

沈没後

赤城丸は、1944年（昭和19年）3月31日に除籍・解傭されました。太平洋戦争の激化とともに、その役割は貨物輸送から戦時輸送へと変化し、最終的には悲劇的な最期を遂げました。その生涯は、戦時下の日本の海運を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

艦長

作間應雄 大佐：1941年12月10日 - 1943年3月2日
黒崎林蔵 予備海軍大佐：1943年3月2日 - 1944年3月2日戦死

同型船

A型貨物船
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浅香丸
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* 吾妻丸

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