赤塚藤七

赤塚藤七の生涯

赤塚藤七（あかつか とうしち）、1908年4月22日生まれ、1979年5月17日没。彼は新潟県で生まれた厳格な家庭の末っ子として育ちました。彼の名は七人兄姉のうちの七番目の子供であることに由来しています。幼少期は短気で頑固な性格で知られ、小学校では当時のガキ大将として名を馳せ、自ら軍団を結成して抗争を勝利に導いていました。学業においては常にトップの成績を維持し、四ツ合東小学校を首席で卒業します。

その後、農業大学に入学しましたが、兄の影響でその夢はかなわず、1922年には農業に従事。この頃、1930年に徴兵検査を受け、陸軍歩兵として勤務することになります。彼は陸軍憲兵学校でも優秀な成績を収め、満州へ転任。そこで警察官としての役割を担い、満州事変など多くの事件に対処していきます。

しかし、仕事上の理不尽に耐えかね、1933年に憲兵を辞職。その後、満州国警察の特務警察官として抗日共産勢力との対峙を任務としながら、結婚して子供を育てることになりました。藤七は人道的な価値観を持ち、中国人に対して平等に接する姿勢が評価され、戦後の困難な時期を乗り越えることができました。

1945年、日本が敗戦を迎えると、藤七はソビエト連邦に捕らえられ、シベリアで4年間の抑留生活を送ります。この間に彼の家族は日本に引き揚げることになりますが、悲劇的なことに次女は病気で他界し、末娘も栄養失調で命を落とすことになります。藤七は1949年に帰国するも、経済的な困難に直面し、田舎での生活を強いられました。

1961年には長男の藤雄を追って上京しましたが、ここでも苦しい生活が続き、やがてフジオ・プロダクションで経理を担当することになります。その後はNHKの集金人としての仕事も経験しますが、1968年には結核を患い、長期入院を余儀なくされました。1970年には妻を不慮の事故で失い、さらに辛い日々が続きました。

1972年には彼の波瀾万丈の人生を振り返った自叙伝『星霜の記憶』を出版。この本は稀少な資料として評価されています。その後、1979年に彼はすい臓ガンの転移による悪性リンパ腫で亡くなります。享年71。藤七の生涯については、息子の赤塚不二夫が著した『これでいいのだ』でも詳しく語られています。最期の言葉として「うん」と残した藤七の生きざまは、波乱に満ちた人生を経て、未来への希望を感じさせるものとなっています。彼の墓所は八王子市の富士見台霊園にあります。

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