赤外線宇宙天文台

赤外線宇宙天文台 (ISO) について

赤外線宇宙天文台（Infrared Space Observatory, ISO）は、欧州宇宙機関（ESA）が開発・運用した赤外線天文衛星です。1995年11月17日にアリアン44Pロケットによって打ち上げられ、1998年5月まで観測運用を行いました。ISOは、その名の通り赤外線領域での観測を専門とし、宇宙の様々な天体から放射される赤外線を捉え、その性質を詳細に研究することを目的としていました。

観測の特徴

ISOの最大の特徴は、その高い観測性能にあります。口径60cmの反射式望遠鏡を搭載し、この望遠鏡を液体ヘリウムによって2〜4Kという極低温まで冷却することで、微弱な赤外線信号を高感度で捉えることが可能になりました。これにより、波長2.5〜240マイクロメートルの幅広い赤外線領域での観測を実現しました。

先行して赤外線観測を行ったIRAS（Infrared Astronomical Satellite）が、全天を網羅的に観測し、赤外線宇宙地図の作成を主な目的としていたのに対し、ISOは特定の天体を詳細に観測することに重点を置いていました。これにより、星の誕生や銀河の進化、惑星形成の過程など、宇宙の様々な現象に関する重要なデータが収集されました。

望遠鏡の主な仕様

ISOに搭載された望遠鏡は、以下の仕様を備えています。

形式: 反射式
口径: 60 cm
集光面積: 約 0.3 m2

これらの仕様により、ISOは高い分解能と感度で赤外線観測を行うことができました。

ISOがもたらした成果

ISOの観測データは、天文学に多大な貢献をしました。例えば、星形成領域の詳細な構造や、原始惑星系円盤におけるダストの分布、活動銀河核におけるエネルギー放射のメカニズムなどが、ISOによって明らかになりました。また、これらの観測によって、宇宙の進化に関する理解が大きく進展しました。

他の赤外線天文衛星との比較

ISOの他にも、様々な赤外線天文衛星が宇宙に送り込まれてきました。主なものとしては、「あかり」、「IRAS」、「スピッツァー[[宇宙望遠鏡]]」、「ハーシェル宇宙望遠鏡」、「SPICA」などが挙げられます。これらの衛星は、それぞれ異なる目的や観測機器を搭載しており、赤外線天文学の発展に大きく貢献しています。ISOは、これらの衛星の中でも、特に詳細な観測データを提供した衛星として重要な役割を果たしました。

まとめ

赤外線宇宙天文台ISOは、その高い観測性能と詳細な観測によって、赤外線天文学の発展に大きく貢献した宇宙望遠鏡です。その観測データは、現在も多くの研究者によって分析されており、宇宙の謎を解き明かす上で重要な役割を担っています。

外部リンク

ESA Science & Technology:ISO

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