赤崎兼義

赤崎 兼義（あかざき かねよし）

日本の医学者（1903年3月8日 - 1989年10月12日）。病理学を専門とし、特に造血臓器の病理組織学、中でもリンパ網内系腫瘍研究における世界的権威として知られる。医学博士、ドイツ名誉医学博士。

経歴

赤崎兼義は、1903年に宮崎県西諸県郡加久藤村（現在のえびの市）に生を受けた。旧制鹿児島県立第二鹿児島中学校、旧制第七高等学校造士館理科乙類を経て医学を志し、1927年3月に東京帝国大学医学部医学科を卒業した。

同年9月より母校の医学部病理学教室で嘱託として研究を開始。1931年には大学院に特選給費生として入学し、病理学の研究に邁進した。1934年9月に医学博士号を取得して大学院を退学した後、同年10月13日に新潟医科大学（旧制）の助教授に就任した。

1935年1月からは約2年間、ドイツへの病理学研究留学を果たし、国際的な知見を深めた。帰国後の1937年4月には新潟医科大学教授に昇任。同大学付属図書館長も兼任し、教育・研究機関の運営にも携わった。戦後の学制改革により、新潟医科大学が新潟大学医学部に移行した後も引き続き教授を務め、後進の育成に尽力した。

1954年7月、東北大学医学部教授に転じ、研究・教育の舞台を東北地方に移した。1957年には約1ヶ月間にわたりオーストリア、西ドイツ、イギリス、ベルギーなどを視察する機会を得た。この欧州出張中の6月24日には、ドイツのフライブルク大学より名誉医学博士号を授与され、国際的な評価を高めた。1961年からは4年間、東北大学の評議員も兼任し、大学運営の要職も務めた。

1965年3月、東北大学教授を定年退官し、名誉教授の称号を授与された。大学退官後も研究への情熱は衰えず、愛知県がんセンター研究所の初代所長に就任し、がん研究の推進に貢献した。1979年に同研究所を退職した後も、名誉所長として関わり続けた。

専門と功績

赤崎教授の専門は病理学の中でも特に造血臓器の病理組織学であり、リンパ網内系腫瘍の研究においては国内外で指導的な役割を担った。その研究成果は多くの学者から高く評価され、この分野における「世界的権威」と称された。

学会活動においても積極的にリーダーシップを発揮し、日本網内系学会（現在の日本リンパ網内系学会）の設立発起人となり、初代会長として学会の基盤構築に尽力した。また、日本病理学会の第53回会長も務めるなど、日本の病理学の発展に多大な貢献をした。

受賞歴

長年の功績が認められ、1968年には中日文化賞を受賞。1973年には勲三等旭日中綬章を受章し、その学術的貢献と教育・研究活動への高い評価が示された。

主な編著書

『臨床家のための剖検例討議集』中外医学社, 1957
『病理学総論』南山堂, 1960
『病理学各論』第1-2 編. 南山堂, 1964
『毒性病理学 病変観察の基礎 カラーアトラス』榎本真共編. ソフトサイエンス社, 1987

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