赤心の歌

アル・クーパー『赤心の歌』：魂を裸にする多様な音楽性

アル・クーパーが1972年に発表したアルバム『赤心の歌』（原題：Naked Songs）は、彼のソロ名義としては6作目のスタジオアルバムにあたります。この作品は、セールス的には成功を収められなかったものの、音楽的な多様性と深みにおいて、特筆すべき作品として評価されています。

制作背景

このアルバムには、興味深いエピソードがいくつか存在します。例えば、「ジョリー」は、プロデューサーのウィリー・ミッチェルの推薦により、アル・グリーンに提供されるという案がありましたが、最終的には実現しませんでした。また、「ビーン・アンド・ゴーン」は、かつてクーパーと交際していたアネット・ピーコックのカバーであり、オリジナル曲である「ピーコック・レディ」と「人生は不公平」は、ピーコックに捧げられています。収録曲のうち「ジョリー」と「サム・ストーン氏の場合には」のレコーディングには、アトランタ・リズム・セクションのメンバーが参加しています。

音楽性と評価

『赤心の歌』は、クーパーの作品の中でも特に多様な音楽性を持つことで知られています。ソウル、ゴスペル、ブルース、ポップ、そしてカントリー・ミュージックまで、様々なジャンルの要素が織り交ぜられています。オールミュージックのレビューでは、5点満点中4点という高い評価を獲得しており、「皮肉にも契約消化のために作られたアルバムだが、聴き逃してはならない作品」と評されています。

収録曲

1. 自分自身でありなさい - (Be Yourself) Be Real
2. 時の流れるごとく - As the Years Go Passing By (Don Robey)
3. ジョリー - Jolie
4. ブラインド・ベイビー - Blind Baby
5. ビーン・アンド・ゴーン - Been and Gone (Annette Peacock)
6. サム・ストーン氏の場合には - Sam Stone (John Prine)
7. ピーコック・レディ - Peacock Lady
8. 聖衣に触れて - Touch the Hem of His Garment (Sam Cooke)
9. 君はどこへ - Where Were You When I Needed You (Al Kooper, Irwin Levine)
10. 人生は不公平 - Unrequited

参加ミュージシャン

アル・クーパー自身が、ボーカル、ピアノ、オルガン、アープ・シンセサイザー、ギター、ベース（#7）を担当しています。その他、チャーリー・ブラウン（ギター）、バリー・ベイリー（ギター）、J.R.コブ（アコースティック・[[ギター]]）、スチュアート・シャーフ（アコースティック・[[ギター]]）、ディーン・ドートリー（ピアノ）、ジョン・ポール・フェッタ（ベース）、ポール・ゴダード（ベース）、ジュニア・ハンリー（ドラムス）、ロバート・ニックス（ドラムス）など、豪華なミュージシャンが参加しています。

まとめ

『赤心の歌』は、アル・クーパーの音楽的な才能が遺憾なく発揮された作品であり、多様なジャンルの音楽を愛する人々にとって、聴き逃せない一枚と言えるでしょう。セールス的な成功には恵まれませんでしたが、その音楽的な深みと多様性は、今なお多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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