赤松燎

赤松 燎（あかまつ りょう）は、昭和から平成にかけて活躍した日本画家です。1922年9月9日、岡山県倉敷市に生を受けました。その画業は京都を拠点に展開され、後に師事する山口華楊との出会いが彼の芸術に大きな影響を与えることになります。

1947年に京都市立絵画専門学校（現在の京都市立芸術大学）に入学し、本格的に絵画の道に進みました。卒業後は、高名な日本画家である山口華楊が主宰する晨鳥社に入塾し、直接指導を受けながら研鑽を積みました。この京都での学びと活動が、彼の作品世界を形作る上で重要な基盤となりました。

赤松燎は、京都という歴史と文化が息づく土地に深く根ざした制作活動を展開しました。その作品には、古都の風情や人々の営みがしばしば描かれ、特に舞妓や陶工といった京都ゆかりの主題を好んで描いたことで知られています。これらの題材を通じて、彼は日本の伝統的な美意識や、そこで生きる人々の精神性を表現しようと試みました。

公募展においてもその才能が高く評価されました。1956年には、権威ある日本美術展覧会（日展）に初めて入選を果たし、以後、生涯にわたって実に25回もの入選を重ねました。これは、彼の継続的な努力と、画壇における確固たる地位を示すものです。また、1959年には京展でも入選するなど、地元の美術展でも活躍を見せました。

純粋な日本画の制作にとどまらず、赤松燎は社会と関わる幅広い分野でその才能を発揮しました。劇場を彩る緞帳の制作に多く携わり、1960年には渡米歌舞伎の緞帳、1961年には京都の南座、1971年には大阪中座の緞帳を手がけました。これらの大規模な作品は、彼の技術と表現力の多様さを示すものです。さらに、1964年には横浜ドリームランドの壁画、1965年には関西新聞の挿し絵や、市川雷蔵主演の大映映画の美術担当も務めるなど、異分野でも活躍しました。1966年には画廊菊でスケッチ展を開催するなど、精力的に活動を行いました。

画家としての活動に加え、赤松燎は人との繋がりも大切にしました。1978年4月には、彼のもとに集まった京都の伝統産業に携わる人々を中心に「燎友会」を結成しました。この会は、赤松の芸術を愛好し、その活動を支える人々によって構成され、彼の没後も活動を続けています。

晩年には、京都・高台寺の塔頭である圓徳院から襖絵の制作を依頼されました。1995年に制作を開始した「白龍の図」は、まさに彼の集大成となるはずでしたが、1996年5月31日、この襖絵の制作中に惜しくも逝去しました。この「白龍の図」は、彼の絶筆であり遺作となりました。現在、この襖絵は圓徳院に収められており、時期によっては有料で一般公開されています。

赤松燎の代表作として、絶筆となった圓徳院の襖絵「白龍の図」が挙げられます。彼の詳細な生涯や作品については、燎光会が運営するホームページ「赤松燎の世界 路傍の日本画家」にて、当時の貴重な写真や作品と共に閲覧することができます。

もう一度検索