赤松秀雄

赤松 秀雄の生涯と業績

赤松秀雄（あかまつ ひでお、1910年12月27日 - 1988年1月8日）は、日本の物理学者および化学者であり、特に有機半導体の研究で知られています。長崎県佐世保市で生まれ、少年時代は鎌倉や横浜で過ごしました。彼は1935年に東京帝国大学の理学部化学科を卒業し、鮫島實三郎の研究室で学びました。

学問の道

1940年代からは、無定形炭素やグラファイトに関する研究に従事しました。その後、1942年に東京大学より理学博士の学位を取得し、「固液界面における吸着現象の実験的研究」というテーマで学位論文を提出しました。1951年には東京大学の理学部教授に就任し、その後も学術界での活動を続けました。

1965年には学士院賞を受賞し、1971年には横浜国立大学工学部の学部長を務めました。さらに1975年には岡崎国立共同研究機構分子科学研究所の創設に関与し、その初代所長としても活躍しました。1978年には水素エネルギー協会の会長に就任し、水素エネルギーの研究にも力を注ぎました。1981年にはその功績により勲二等旭日重光章を授与されました。

有機半導体の発見

赤松の最も重要な業績のひとつは、1954年に井口洋夫らとともに、ペリレンと臭素の錯体が非常に高い導電性を示すことを発見したことです。この発見は、有機半導体の概念を提唱する重要な一歩となり、後に白川英樹らによる導電性高分子の研究にもつながりました。彼の成果は、日本における炭素研究の先駆者としての地位を確立し、同時に水素エネルギーに関する研究にも先駆的な役割を果たしました。

多岐にわたる才能

赤松は科学の分野だけでなく、文学や絵画、音楽にも深い造詣を持ち、歌人としても知られる存在でした。また、彼の門下には井口洋夫や中川鶴太郎といった多くの優秀な研究者がいます。彼の業績は、学術的な研究だけにとどまらず、次の世代の研究者たちにも影響を与えました。

著書と論文

彼の業績は多くの著書や論文に反映されています。1956年には「実験化学講座, 4」を日本化学会編で出版し、さらに多くの研究論文も残しています。代表的な論文には「On the Electrical Conductivity of Violanthrone, Iso‐Violanthrone, and Pyranthrone」や「Electrical conductivity of the perylene-bromine complex」といったものがあり、これらは彼の研究の重要な一部を示しています。

死去と評価

赤松秀雄は1988年にくも膜下出血により亡くなりましたが、彼の功績は今なお多くの研究者に受け継がれています。彼は日本における物理学と化学の発展に不可欠な人物であり、その業績は現在も評価されています。

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