赤毛組合

『赤毛組合』について

『赤毛組合』（The Red-Headed League）は、アーサー・コナン・ドイルが執筆した短編小説で、シャーロック・ホームズシリーズの第二作目にあたります。1891年8月に『ストランド・マガジン』に初めて掲載され、1892年には短編集『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されました。この作品は、記憶に残るユニークで血沸き立つ物語であると同時に、ドイルが自選した12編の中でも特に評価され、第2位に位置付けられています。日本語版では、複数の訳者によって「赤毛連盟」や「赤髪組合」などのタイトルが使われています。

あらすじ

物語は1890年10月9日、ロンドンのベーカー街221Bに住む私立探偵シャーロック・ホームズの元に、彼の友人で医師のジョン・H・ワトソンが訪れるところから始まります。彼らは、赤毛の男ジェイベズ・ウィルスンからの依頼を受けることに。このウィルスンは小さな質屋を営んでおり、優秀な店員ヴィンセント・スポールディングを雇っています。このスポールディングは、少し変わった趣味を持っており、暗室での写真現像を理由に頻繁に地下にこもって作業をしています。

8週間前、スポールディングはウィルスンに新聞の広告を見せ、赤毛の男性を中心に活動する「赤毛組合」への応募を提案します。この組合は、ある富豪が赤毛の人々に資産を分け与えるために設立したもので、組合員に簡単な仕事を割り当てることで高額な報酬を提供していました。 ウィルスンはこれに応募し、審査をくぐり抜けて新たな組合員として採用されます。

組合員の仕事は『大英百科事典』の写しをとること。この契約では、毎日午後2時まで事務所にこもり、外には出てはいけないという条件が課せられます。ウィルスンは夕方の質屋の仕事を終えた後、スポールディングに店を任せ、毎日事務所で与えられた仕事を行います。8週間が経過したある日、ウィルスンが出勤すると事務所の扉は閉ざされており、「赤毛組合は解散した」という貼り紙だけが残されています。

ショックを受けたウィルスンは、ホームズに調査を依頼しにやってきます。彼は、スポールディングの特徴を詳しく説明し、何故自分に全く連絡がなかったのか、非常に困惑している様子です。

ホームズの推理

興味を引かれたホームズは、ウィルスンの話を受けて調査を始めます。スポールディングの特徴を聞いたホームズは何か思い当たるところがあったのか、すぐに質屋へ向かいます。すぐに探偵はウィルスンの質屋の前に立ち、敷石を叩くことで地下にあるトンネルの存在を確認します。このトンネルがクレイという犯罪者らによるもので、地下から銀行を狙う計画だと推測したのです。

その夜、ワトソンに安置された拳銃を持参させ、ジョーンズ警部と共にトンネルの待ち伏せを行います。最終的に、ジョン・クレイと彼の仲間が地下室で逮捕されます。ウィルスンに対する詐欺が、ウィルスンを外出させるために仕組まれたものであったことが理解され、ホームズはその真実に迫ります。

結末

ホームズは、ウィルスンの店が狙われた理由の真相を明かし、一味がトンネルを通じて銀行に侵入する計画を立てていたことを解明しました。ウィルスンの無実を証明しつつ、ホームズはこの事件を解決します。「赤毛のトリック」とも称されるこの手法は、後の作品にも影響を与える重要な要素となったとされています。

まとめ

『赤毛組合』は、巧妙に織りなされた詐欺をテーマにした短編小説で、ホームズが事件を解決する過程が描かれています。この作品は、シャーロック・ホームズシリーズにおける重要な位置を占めており、名探偵の推理力や記憶力、観察力が巧みに描写されています。ドイルの緻密なストーリーテリングと巧妙なプロットが際立つ、謎解きの名作です。

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