赤田2号墳

赤田2号墳について

赤田2号墳は、神奈川県横浜市青葉区にかつて存在していた古墳であり、赤田古墳群の一部を成していました。この古墳は、かつての丘陵に位置しており、豊かな自然環境に囲まれていました。しかし、1980年代後半の都市開発に伴い、周辺地域は住宅地に変貌し、古墳も消えてしまいました。

歴史的背景と名前の由来

青葉区あざみ野南は、古来より丘陵、谷戸、水田、雑木林などの自然景観が広がる場所で、縄文時代から江戸時代にかけてのさまざまな遺跡が点在していました。これらの遺跡は「赤田地区遺跡群」と呼ばれ、地域の歴史を今に伝えています。1985年から1988年にかけて実施された大規模な発掘調査によって、赤田古墳群もその調査対象の一つとして位置づけられました。

古墳の構造と出土物

赤田2号墳は直径20メートル、残存高2.8メートルの円墳であり、埋葬主体部は泥岩の切石を用い、二室に分かれた両袖式横穴式石室が設けられていました。石室の床には川原石が敷かれていましたが、天井部分は崩壊していました。調査では、鉄製の武器や玉類（管玉、勾玉、丸玉、小玉、切子玉）、耳環、須恵器、土師器などが出土し、これらの遺物からこの古墳が6世紀後半に築造されたことが判明しました。

消失とレプリカの設置

発掘調査後、赤田古墳群は削り取られ消滅する運命を辿りました。赤田2号墳については、保存が叶わなかったものの、崩壊する前に横浜市教育委員会によって墳丘と横穴式石室の型取りが行われました。その成果に基づき、ガラス繊維補強セメント（GRC）を用いて実寸大のレプリカが製作され、赤田西公園の一角に設置されました。このレプリカは、当時の状況を再現しており、石室の天井部分が崩れている状態も表現されています。また、周辺には古墳の説明を記載した案内板も設置されています。

現在の赤田2号墳

実物の赤田2号墳は、レプリカ設置地点から東に410メートル、北に310メートル離れた位置に存在していましたが、現在ではその痕跡を探すことはできません。赤田西公園にあるレプリカは、失われた古墳の面影を感じさせる貴重な存在であり、訪問者に地域の歴史と文化の一端を伝える役割を果たしています。この地がかつてはどのような場所であったのかを想像する手助けとなるでしょう。

参考文献

• - 大川, 清、渡辺, 務『赤田地区遺跡群:横浜市緑区 集落編Ⅰ』日本窯業史研究所
• - 横浜市歴史博物館「赤田古墳群」『横浜の古墳と副葬品』
• - 大川, 清『赤田の古墳:横浜市緑区』日本窯業史研究所
• - 渡辺, 務『赤田地区遺跡群:横浜市青葉区 集落編Ⅱ』日本窯業史研究所
• - 坂本, 彰「荏田古墳群」『鶴見川流域の考古学』

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