赤胴車

阪神電車の象徴「赤胴車」：その歴史と終焉

阪神電気鉄道で長年活躍した車両塗装「赤胴車」。その名の通り、赤を基調とした独特のカラーリングで親しまれてきました。本記事では、赤胴車の歴史、デザインの変遷、そしてその終焉に至るまでの軌跡を詳細に解説します。

赤胴車の誕生と愛称の由来

1958年、3301形・3501形の登場とともに、クリーム色とバーミリオン（朱色）のツートンカラーが採用されました。この塗装は、当時人気を博していたテレビドラマ『赤胴鈴之助』を彷彿とさせ、「赤胴車」という愛称で広く呼ばれるようになりました。この魅力的なカラーリングは、多くの鉄道ファンを魅了し、阪神電車の象徴的な存在となりました。

デザインの変遷と多様なバリエーション

赤胴車の塗装は、長年にわたって様々な変化を遂げました。1984年から1995年にかけて製造された8000系車両にも、このツートンカラーが受け継がれましたが、1996年登場の9000系はステンレス車体となり、窓下にオータムレッドとグレーの帯を配したデザインとなりました。

2001年登場の9300系では、プレストオレンジとシルキーベージュのツートンカラーが採用され、8000系のリニューアル車両にも同様の塗装が施されました。さらに、近鉄との相互直通運転に対応した2006年製造の1000系では、ビバチェオレンジとホワイトストライプの新たなデザインが登場しました。このデザインは、近鉄直通対応工事を施された9000系にも採用されています。

赤胴車の終焉とその後

長年にわたって活躍した赤胴車ですが、車両の老朽化やバリアフリー化の進展に伴い、2020年6月をもって営業運転から引退しました。最後までオリジナルカラーを維持していた武庫川線用車両も、5500系改造車への置き換えによって、その姿を消しました。

赤胴車に対する世間の反応と評価

赤胴車は、その鮮やかなカラーリングから、一部からはライバル球団を連想させるという意見も寄せられていました。2017年の阪急阪神ホールディングス株主総会では、塗装変更の要望が出されましたが、会社側は変更を却下しました。これは、長年にわたり親しまれてきた赤胴車の塗装に対する強い愛着と、その象徴的な地位を維持する意思の表れと言えるでしょう。

赤胴車の系譜と類似塗装

赤胴車と対照的に、青を基調とした塗装の車両は「青胴車」と呼ばれていました。また、阪急マルーン、近鉄マルーン、西武や京成の赤電など、類似したカラーリングの車両も存在します。小湊[[鉄道キハ200形気動車]]は、赤胴車に似た塗装で、かつて阪神電車のヘッドマークを模したデザインも使用していました。

まとめ

赤胴車は、単なる車両塗装にとどまらず、阪神電気鉄道の歴史と文化を象徴する存在でした。その鮮やかな色彩と、長年にわたる活躍は、多くの鉄道ファンの記憶に深く刻まれています。赤胴車の引退は、一つの時代の終わりを告げましたが、その記憶はこれからも人々の心に残り続けることでしょう。

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