近鉄マルーン

近鉄マルーン：近畿日本鉄道の象徴色

近鉄マルーンは、近畿日本鉄道（近鉄）の通勤形電車に用いられる赤色系の塗装色の通称です。この色は、長年にわたり近鉄の車両を彩り、多くの人々に親しまれてきました。ここでは、近鉄マルーンの歴史と変遷、関連する情報を詳しく解説します。

近鉄一般車両における塗装の変遷

近鉄の車両塗装は、時代とともに変化してきました。戦後の1954年、大阪線区間車のモ1450形の下半色に初めて赤色塗装が採用されました。これが、近鉄マルーンのルーツと言えるでしょう。

翌1955年には、800系が落成し、40mm幅のステンレス帯付きの一色塗りとなりました。この塗装は820系にも受け継がれました。一方で、1957年にはモ1460形が「ベージュ・青帯」という初期の新性能車塗装を採用し、広軌線に広がりました。また、南大阪線の6800系には「オレンジバーミリオン・白帯」のラビットカー専用塗装が採用され、日本初の高加減速車両として注目を集めました。

1963年頃、旧型車のダークグリーン塗装が塗り替えられ始め、「あかね色」の色調に変わりました。その後、1968年頃には南大阪線のラビットカーや奈良線の8000系がマルーン系に塗り替えられ、「近鉄マルーン」へと変化しました。

1986年には、3200系から色調が変更され、「近鉄マルーンレッド」と改称されました。この時期から、東大阪線（現在のけいはんな線）などの特殊狭軌線を除き、「シルキーホワイト」との2色塗り分けが従来車にも波及しました。

2000年以降、シリーズ21が登場し、「アースブラウン」と「クリスタルホワイト」のツートンに「サンフラワーイエロー」の帯を配した新たな塗装が採用されました。しかし、従来の車両の塗装変更は行われませんでした。2024年には、8A系が登場し、マルーンレッドとシルキーホワイトの塗装が再開されましたが、3200系と比較してわずかに色調が変更されています。

近鉄マルーンの派生と関連情報

近鉄から運営が移管された養老鉄道では、塗装簡略化のため近鉄マルーンレッド一色となりました。また、リバイバル塗装として、伊賀鉄道の860系863Fと8400系8414Fには、初代マルーンの一色塗装が施されています。

近似色・関連項目

近鉄マルーンの近似色としては、一般的な「マルーン」が挙げられます。鉄道車両の塗装色としては、国鉄の「ぶどう色1号」「ぶどう色2号」「ぶどう色3号」、また「赤2号」「赤7号」などが存在します。私鉄では、阪急電鉄の「阪急マルーン」、名古屋鉄道の「名鉄スカーレット」、西武鉄道の「赤電」、京成電鉄の「赤電」、そして阪神電鉄の「赤胴車」などがあります。これらの色は、それぞれの鉄道会社の個性を象徴する色として、多くの鉄道ファンに愛されています。

まとめ

近鉄マルーンは、近鉄の歴史と深く結びついた象徴的な色です。時代とともに変化しながらも、その赤色の系譜は近鉄の車両を彩り続けています。この色を通じて、近鉄の車両をより深く理解し、その魅力を感じていただければ幸いです。

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