赤色ギャング事件

赤色ギャング事件

赤色ギャング事件とは、1932年10月6日に東京市大森区で発生した日本共産党の党員による銀行強盗事件です。この事件は国内で初めて、白昼に成功した銀行強盗として知られ、アメリカのギャング映画さながらの手口が話題となりました。事件の関与者が共産党員であったため、報道は早々に禁止され、1933年1月18日にようやく解禁されました。

事件の概要

1932年の夕方、覆面の男たちが川崎第百銀行大森支店への襲撃を決行しました。彼らは、まず発砲して周囲を威嚇し、行員たちを応接室に集めました。その後、31700円を奪い取って逃走しました。警察はすぐに捜査を開始しましたが、初めは犯人を特定できず苦戦しました。

しかし、捜査の過程で密売人が関与していることが判明し、最終的には主犯であるサイトウが逮捕された。彼は日本共産党の資金局員であり、事件に関する証言を行ったことで他の共犯者も追跡され、逮捕されました。

背景と動機

1932年当時の日本共産党は、党勢の低下や資金不足に直面していました。このため、党の資金を確保するための手段として、強盗事件を計画しました。資金調達を行うため、党内に「戦闘的技術団」を設立し、様々な非合法活動を企てていました。銀行強盗はその一環として行われ、党のリーダーたちの指導のもと、実行に移されたのです。

強盗計画

この強盗事件の主導者とされる松村昇は、実際の計画を発案したのは今泉善一でした。今泉は自身の経験を活かしながら、銀行強盗の実施に向けた計画を立て、共犯者たちに指示を出しました。最終的に、川崎第百銀行の襲撃を成功させることができました。

事件の背後には、共産党による非合法活動の拡大や、資金調達のための緊急性がありました。強盗に使用された武器は、密輸されたものであり、事件を計画する中で資金やリソースを集めるための手段として考えられていました。

結果と影響

事件の後、共産党員たちは次々と逮捕され、党組織は大きな打撃を受けることになりました。日本共産党の上層部は、この事件を利用して党内のスパイ問題を取り上げ、責任を転嫁しようとしたといわれています。一方、権力を持つ当局もこの事件を赤狩りの道具として利用しました。

この事件は全国的な関心を集めたことから、その影響は長期間にわたり続きました。また、共産党側は、事件の真相について異なる見解を持ち、特別高等警察のスパイによって事件が引き起こされたとの主張も行いました。さらには、この事件の影響を受けた模倣犯も現れ、金融機関への襲撃が増加するなど、社会に衝撃を与えました。

追記

赤色ギャング事件は、日本共産党の歴史において非常に重要な出来事として位置付けられています。この事件は、当時の党の政策や活動に大きな影響を及ぼし、今後の政局にも影響を与えた事例として記憶されています。

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