起承転結 III

『起承転結 III』について

『起承転結 III』（きしょうてんけつ スリー）は、日本のシンガーソングライター、松山千春が1984年11月21日に発表した、キャリア通算3作目となるシングル・コレクション、すなわちベスト・アルバムです。この作品は、松山自身が1980年に設立に関わったレコードレーベル、NEWSレコードからリリースされた最後のアルバムという重要な位置づけを持っています。

収録楽曲について

本作には、松山千春が1982年から1984年にかけて発表したシングル作品の中から厳選された楽曲が収められています。具体的には、1982年にリリースされたシングル『夜よ泣かないで』に始まり、1984年のシングル『On the Radio』までの間に発表された、計6枚のシングル作品の収録曲から、合計12曲が収録されています。これらの楽曲は、リリース当時の松山千春の音楽性やメッセージを代表するものであり、彼のキャリアにおける特定の期間を網羅したセレクションとなっています。シングルA面曲だけでなく、カップリング曲（B面曲）も含まれていることで、当時のシングル作品の全貌を把握できる構成と言えるでしょう。

リリース形態と再発売

『起承転結 III』は、当時の主要な音楽メディアであったアナログレコードと同時に、最新メディアであったコンパクトディスク（CD）でも発売されました。これは、時代の変化に対応したリリース戦略であったことを示しています。その後、このアルバムは再び市場に供給されています。1992年には、日本の主要レコード会社である日本コロムビアから、改めてCDとして再リリースされました。これにより、発表から年月が経過した後も、多くのリスナーが入手可能な状態が維持されました。

制作に関わったミュージシャン

このアルバムの制作には、日本の音楽シーンを支える数多くの著名なスタジオミュージシャンが参加しています。彼らの熟練した演奏が、松山千春の歌声と楽曲を豊かに彩っています。主な参加ミュージシャンは以下の通りです。

エレクトリックギター: 松原正樹、矢島賢、幾見雅博
アコースティックギター: 笛吹利明、安田裕美
ドラムス: 島村英二、見砂和照
エレクトリックベース: 長岡道夫
パーカッション: 斉藤ノブ、ラリー須永
キーボード: 奥慶一、大原茂人
* ストリングス: Ohno Strings, Katoh Joe-group, Hiiro Strings

これらの参加ミュージシャンによる演奏は、アルバム全体のサウンドクオリティを高める上で重要な役割を果たしています。

アルバムの位置づけ

『起承転結 III』は、松山千春のシングル集としては3作目にあたります。過去に発表されたシングル曲をまとめて聴くことができるこのシリーズは、アーティストの活動の軌跡を辿る上でファンにとって重要な意味を持ちます。特に本作は、自身が設立したNEWSレコードからの最後のアルバムという歴史的な側面も持ち合わせており、その後の音楽活動の区切りを示す作品としても位置づけることができるでしょう。1982年から1984年という特定の期間に焦点を当てることで、当時の松山千春の音楽的な変化や深化を感じ取ることができる作品と言えます。

このアルバムは、単なるヒット曲集というだけでなく、アーティストの自主レーベルからの最終章を飾る作品として、松山千春のディスコグラフィーにおいて特筆すべき一枚です。

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