起承転結 V

松山千春 シングル・コレクション『起承転結 V』

シンガーソングライター松山千春が発表した楽曲の中から、シングルとしてリリースされた作品を集めた人気シリーズ「起承転結」。その第5弾にあたるアルバム、『起承転結 V』（きしょうてんけつ ファイブ）が、1990年4月25日に世に送り出されました。この作品は、松山千春にとって通算5作目のシングル・コレクションであり、広義のベスト・アルバムとしては6枚目の位置づけとなります。

リリース形式と背景

本作のリリース当時、主流であったCDとLPレコードの両メディアで同時に発売されました。特にCDの初回生産分は、特別仕様のBOXパッケージで提供され、ファンにとってはコレクターズアイテムとしても価値のあるものとなっています。その後、1992年にはレコード会社の移籍に伴い、日本コロムビアからCDが再リリースされています。

収録内容の構成

『起承転結 V』に収められているのは、1987年に発表されたシングル「春夏秋冬」から、1989年にリリースされたシングル「SWAY」までの期間に発表された楽曲群です。この約3年間にリリースされたシングルは計6枚。本作では、それらシングル6枚のA面曲と、それぞれのカップリング曲（B面曲）の全てを網羅しており、合計で12曲が収録されています。この期間は、松山千春の音楽性がさらに深化し、円熟期へと向かう過渡期にあたります。本作に収録された楽曲は、当時の彼の精力的な創作活動と、時代と共に変化を取り入れつつも根幹は変わらない彼の音楽スタイルを示す貴重な記録と言えるでしょう。LPレコードとCDのどちらのメディアでも、全く同じ12曲が収録されています。

参加ミュージシャン

本作のレコーディングには、当時の日本の音楽シーンを支えるトップレベルのスタジオミュージシャンたちが多数参加し、楽曲に豊かなサウンドと深みを与えています。彼らの卓越した演奏技術が、松山千春の個性的な歌声とメロディーを一層引き立てています。

主要な参加ミュージシャンは以下の通りです。

Drums: 島村英二、見砂和照、岡本郭男
Bass: 美久月千晴、富倉安生、長岡道夫、六川正彦
A.Guitar: 笛吹利明、丸山政幸
E.Guitar: 松原正樹、松下誠、土屋潔、高村周作
Keyboards: 奥慶一、中西康晴、松田真人、山田秀俊、エルトン永田、大石学
Sax: 平原まこと
* Strings: KATOH JOE GROUP, SHINOZAKI MASA GROUP

これらのプレイヤーたちの参加は、本作の音楽的なクオリティを保証するものであり、彼らの繊細かつ力強い演奏は、リリースから長い年月を経た現在でも多くのリスナーを魅了し続けています。

まとめ

『起承転結 V』は、1980年代後半から1990年にかけての松山千春のシングル作品を網羅的に集めた、価値あるコレクションアルバムです。この時期に生まれた名曲や、シングルのB面として発表された隠れた佳曲を含む全12曲を通じて、この時期の松山千春の音楽的な変遷と深みを堪能することができます。「起承転結」シリーズの一枚として、また彼の幅広い楽曲世界への入門としても、多くのファンに長く愛聴されている作品です。

もう一度検索